Windows Forms
Windows Formsはマイクロソフトが提供する.NET Framework環境向けの Windows 用 GUIアプリケーションフレームワークである。日本語の公式ドキュメントでは「Windows フォーム」と表記されることがある[1]。「WinForms」と略記されることもある[2]。
概要
[編集]Windows Forms(WinForms)は、.NET 環境でデスクトップアプリケーションを開発するために用いられる。ウィンドウ、ボタン、テキストボックスなどの標準的なユーザーインターフェイス要素を扱うための機能を提供する。主にデスクトップアプリケーションを対象としており、Web ブラウザ上で動作するアプリケーションの開発には用いられない。
Windows Forms アプリケーションの開発にはVisual Studioが広く用いられ、フォームデザイナーを利用して画面レイアウトやユーザーインターフェイス要素を視覚的に設計できる。
コード例
[編集]C#によるWindows Formsを使用したHello worldプログラムの例である。ここで、System.Windows.FormsがWindows Formsの名前空間を表す。
using System;
using System.Windows.Forms;
public class HelloWorld
{
[STAThread]
public static void Main()
{
Form form = new Form();
form.Text = "Hello world!";
Application.Run(form);
}
}
ソースコード
[編集]基本クラスライブラリをはじめとする.NET FrameworkのソースコードはMicrosoftリファレンスソースライセンス (MS-RSL) に基づいて公開されている[3][4]。この中にWindows Formsも含まれている[5]。もともと.NET Frameworkはプロプライエタリでソースコードは公開されていなかったが、2007年に.NET Framework 3.5の発表に合わせて公開された[6]。.NET(旧称.NET Core)のソースコードはMITライセンスに基づいて公開されており、Windows Formsも含まれている[7]。
Windows Formsのソースコードの大半はC#を使って記述されており、P/InvokeやCOM相互運用を利用してWindows APIを呼び出しているが、一部の実装にVB.NETも使われている[8]。ネイティブ相互運用のテストコードにはC++も使われている[9]。
互換実装
[編集]マイクロソフトによるWindows専用の.NET Frameworkベース公式実装のほか、Monoによる互換実装(通称WinForms)が存在する[10]。MonoのWinFormsは.NET 1.1/2.0互換の実装を提供するが、2017年現在の開発状況はメンテナンスフェイズとなっている。
課題と将来性
[編集]Windows Formsは.NET Framework 1.0のリリースとともに登場したが、.NET 2.0で機能追加[11]や仕様変更がなされた後は大きな変化がない。.NET 3.0で導入され、Windowsのバージョンアップとともに継続的に機能追加がなされた後発のデスクトップアプリケーションフレームワークであるWPFに比べると、マルチタッチやDPI Aware[12][13]などに標準で対応していないなど、最新の技術動向は反映されにくい傾向にある。.NET 4.5.1, .NET 4.5.2, .NET 4.6, .NET 4.7ではそれぞれ高DPI環境下でのWindows Formsコントロールのリサイズに関する機能が徐々に拡張・改善されているが、既定ではなくオプトインである[14][15]。
また、Visual C++にはバージョン2010までWindows Formsのアプリケーションプロジェクトテンプレートが存在していたが、バージョン2012以降は削除されている。もともとVisual C++においてマネージコンポーネントであるWindows Formsを扱うにはC++/CLI言語を使用する必要があったが、C++/CLIはマネージコードとアンマネージコードの相互運用を行なうグルー言語用途としてのみ使用することが推奨されている[16]。
しかし、後継となるWPFはMFCやWindows Formsの完全なスーパーセットではなく、一部は同等機能が用意されていない。Win32/MFCやWindows Formsで作成されたコード資産を再利用するため、WPFアプリケーションでもWin32/MFCやWindows Formsとの連携を行なうシナリオを想定した相互運用機能が用意されている[17][18][19][20]。
.NET Core 3.0では、Windows版限定ではあるがWPFとともにWindows Formsが実装された[21]。.NET Frameworkのメジャーアップデートは4.8で最後となるが、メンテナンスは継続される。
.NET Frameworkと.NET Core双方の後継となる.NET 5のWindows Formsでは、Windows Vistaで導入されたタスクダイアログのラッパークラスや、強化されたWin32リストビュー機能へのアクセスAPIが追加されるなど、オープンソース開発コミュニティによるプルリクエストを取り込んだ新機能が導入された[22][23]。.NET 6/7/8でも新機能がいくつか追加されており、.NET 9でも新機能の実装が予定されている[24]。
脚注
[編集]- ^ Windows フォーム | Microsoft Docs
- ^ Windowsフォーム開発に最適なコンポーネントセット - ComponentOne Studio for WinForms | グレープシティ コンポーネント製品
- ^ Microsoft Reference Source - .NET Framework
- ^ End User License Agreement - MICROSOFT REFERENCE SOURCE LICENSE (MS-RSL)
- ^ Microsoft Reference Source - .NET Framework (#System.Windows.Forms)
- ^ マイクロソフト、.NET Frameworkライブラリのソースコード公開へ|CodeZine(コードジン)
- ^ winforms/LICENSE.TXT at main · dotnet/winforms · GitHub
- ^ winforms/src/Microsoft.VisualBasic.Forms/src/Microsoft/VisualBasic at main · dotnet/winforms · GitHub
- ^ winforms/src/System.Windows.Forms/tests/InteropTests/NativeTests at main · dotnet/winforms · GitHub
- ^ WinForms | Mono
- ^ @IT:特集 .NET Framework 2.0のWindowsフォーム新機能(前編)
- ^ アプリの高DPI(High DPI)対応について 第2回 ~ アプリケーションの高DPIへの対応レベル ~ – 田中達彦のブログ
- ^ Windows フォーム アプリの DPI Aware への変更 言語: XML
- ^ アプリの高DPI(High DPI)対応について 第1回 ~ 高DPIとは ~ – 田中達彦のブログ
- ^ What's new in the .NET Framework | Microsoft Docs
- ^ Visual Studio 2012、2013 で Visual C++ の Windows フォーム アプリケーション テンプレートが削除され、新規に作成できない
- ^ WPF and Win32 Interoperation | Microsoft Docs
- ^ Walkthrough: Hosting a Windows Forms Control in WPF | Microsoft Docs
- ^ WPF と Win32 の相互運用性に関する概要 | Microsoft Docs
- ^ チュートリアル : Windows Presentation Foundation での Windows フォーム コントロールのホスト | Microsoft Docs
- ^ Windows Forms アプリを .NET Core 3.0 に移植する - .NET Core | Microsoft Docs
- ^ Windows Forms 5.0の新機能 - InfoQ
- ^ Windows フォーム .NET 5 の新機能 - Windows Forms .NET | Microsoft Learn
- ^ Microsoft Build 2024で発表されたWindowsデスクトップ開発まわりの情報 | MESCIUS.devlog - メシウス株式会社
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Microsoft Reference Source (#System.Windows.Forms): .NET Framework内のソースコード。MS-RSL。
- winforms - GitHub: .NET(当時.NET Core 3.0)向けに移植されたバージョン。MITライセンス。