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比例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
比例定数から転送)

 数学における比例(ひれい、: proportionality)している、もしくは比例関係(ひれいかんけい、: Proportional relationship)にあるとは、変数を用いて書かれる二量の関係の内、一方が他方の定数倍であるような関係にあるということである。

 以下、本記事では2つある内の変数の一方を変数 x (省略し x と表す)とし、他方を変数 y (省略し y と表す)とする。

また、 yx定数 k 倍であるとし、このときの定数 k比例定数(ひれいていすう、: Proportionality constant) という。以下、比例定数 k と表現する。そして、このとき xy比例定数 k を用いた、

 

という方程式が成り立つ。

様々な比例

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正比例の定義

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 変数を用いて書かれる二量の一方が他方の定数倍である、つまり、

xy が、 0 でない比例定数 k を用いた

という方程式で書くことができるとき、 yx正比例(せいひれい、: Directly proportional)している、もしくは正比例関係(せいひれいかんけい、: Direct proportional relationship)にあるという。

yx正比例しているときに xy に関する式で表すと

となる、よって、 yx に正比例するとき、 xy に正比例すると分かる。また、後者の比例定数は前者の比例定数 k逆数であるとなる。

 そして、特に比例定数 k の具体的な値に言及する必要の無いときなどは

と、比例記号 (U+221D)を用いて書くこともある。

比例関係は同値関係の一つである。実数や複素数のように結合的可除代数においては、比例による同値関係は 0以外の元を全て一つの類に分類してしまうが、(次元が 2以上の)線形空間に対しては幾何学が展開されるような豊かな構造をもつ同値類集合を形作る(射影空間と呼ぶ)。

反比例の定義

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yx逆数正比例する、つまり

という方程式が常に成り立つとき、 yx反比例するという。このとき同時に、xy反比例するともいえる。

二乗比例の定義

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yx自乗正比例する、つまり

とき、yx二乗比例するという。

指数比例、対数比例の定義

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yx指数関数に比例する、つまり

とき、yx に指数比例する、xy に対数比例するという。ただし逆に、yx に対数比例する、xy に指数比例するということもある。

正比例の性質

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  • となるため、比の値kで常に一定である。(定義より)
  • xa 倍になれば、それに伴い、ya 倍になる。(必要十分条件から)
  • 正比例の方程式一次関数の基本式、を比較すると、正比例の関係は、一次関数の定数bが0の特殊な場合であるとわかる。よって、変数 x と変数 y 直交座標を取ってグラフにすれば、そのグラフは原点を通過する直線を描くことがわかる。また、その線形関数を微分するととなる。
    • xy相互相関関数は、比例係数の符号(|k|)に等しい。
    • xa 増えれば、yka 増える。

比例関係の例

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固有名がついている比例定数

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など

関連項目

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