札仙広福
札仙広福(さっせんひろふく[1][2]、さつせんひろふく[3])は、日本の地方中枢都市である札幌市(北海道)、仙台市(宮城県)、広島市(広島県)、福岡市(福岡県)の4市をひとまとめにして表す言葉[4]。1970年代後半頃から都市工学界などで使用され始めた[5]。
概要
[編集]日本を三大都市圏と地方圏に分けた場合、地方圏における都市類型の1つとして、「札仙広福」という用語がある。それは、
- 札幌市(北緯43度3分43.2秒 東経141度21分15.6秒 / 北緯43.062000度 東経141.354333度)
- 仙台市(北緯38度16分5.3秒 東経140度52分9.9秒 / 北緯38.268139度 東経140.869417度)
- 広島市(北緯34度23分7秒 東経132度27分19秒 / 北緯34.38528度 東経132.45528度)
- 福岡市(北緯33度35分24.4秒 東経130度24分6.1秒 / 北緯33.590111度 東経130.401694度)
の4市の頭文字をまとめたものであり、これらは都市地理学において「広域中心都市」とされ[5]、各都市は行政・経済などにおいて、おおよそその所属地方に及ぶ広域的な管轄地域(テリトリー)を持っている。これらの都市は各地方における支店経済都市として機能しており、東京・大阪・名古屋の三大都市圏都府県庁所在地(その多くは東京)に本社を置く企業がその地方を管轄する支社を置くことが多い。また、省庁の地方支分部局 (出先機関)や、電力会社やガス会社など、その地方をブロックとするインフラ会社の本社が置かれることが一般的である。
高度経済成長期にあたる1969年(昭和44年)策定の新全国総合開発計画(新全総)では、札幌都市圏、仙台都市圏、広島都市圏、福岡・北九州都市圏(福岡都市圏および北九州都市圏)の4つの都市圏が、札仙広福に対して「東名阪」(とうめいはん)とも言われている、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に次ぐ「地方中枢都市圏[6]」とされており、これら4都市圏を指して札仙広福とする場合もある[† 1]。
経緯
[編集]札仙広福の各都市の市域において、当地が現在の名前となった年とそのきっかけとなった出来事、市制施行された年、政令指定都市となった年を示す。
| 都市 | 命名(年) | きっかけとなった出来事 | 市制施行(年) | 政令指定都市化(年) |
|---|---|---|---|---|
| 札幌市 | 1869年 | 開拓使が置かれ、当地を石狩国札幌郡とした | 1922年 | 1972年 |
| 仙台市 | 1601年 | 伊達政宗が居城を千代城に決めて縄張りを始め、仙臺城に改名 | 1889年 | 1989年 |
| 広島市 | 1589年 | 毛利輝元が居城を新規築城する際、廣嶋城と命名 | 1889年 | 1980年 |
| 福岡市 | 1601年 | 黒田長政が居城を新規築城する際、縁の備前国福岡に因んで福岡城と命名 | 1889年 | 1972年 |
明治維新から1世紀弱後、「工業開発」と「中枢管理機能論[† 2]」を理論的柱とする[7]全国総合開発計画(全総。1962年策定)により、六大都市(旧東京市・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市)が、工業および中枢管理機能の両者を充実して高度経済成長し、三大都市圏へと成長する一方、工業にあまり依存せずに中枢管理機能の充実により高次都市機能を得たのが、札仙広福であった[† 3]。
札仙広福は、明治以来の政治的中枢管理機能の集積、各地方に詳しい地元流通業者の存在、そして、その地理上の位置が各企業に注目されて、販売およびアフターサービスのための拠点的支所(支店)が置かれ、本社機能があまりない経済的中枢管理機能の集積が進んだ[5]。このため「支店経済都市」とも呼ばれる[† 3]。この傾向により、三大都市(東京都区部・名古屋市・大阪市)、札仙広福、その他の都市という3階層性が、1970年(昭和45年)に行った統計を分析することで明確となり[5]、高度経済成長期が終わって安定成長期に入った1970年代後半以降に「札仙広福」という用語が広く使用されるようになった[5]。
高度経済成長を牽引した四大工業地帯(京浜・中京・阪神・北九州)では、前3者の中心都市(東京・名古屋・大阪)が三大都市圏でも同様に中心都市へと成長していった。残る北九州工業地帯ではプライメイトシティが無く、関門六市が互いに並列していたが、これら6市のうち福岡県内に位置する5市が合併して1963年(昭和38年)に北九州市(北緯33度53分0.2秒 東経130度52分30.7秒 / 北緯33.883389度 東経130.875194度)となった。同市は1969年(昭和44年)策定の新全総において「地方中枢都市圏」(札幌、仙台、広島、北九州・福岡の4都市圏)に含まれたものの、北九州・福岡都市圏で中枢管理機能は福岡市に集中したため、「広域中心都市」すなわち「札仙広福」の一角には含まれなかった。
1940年(昭和15年)と1947年(昭和22年)の国勢調査における現市域にあたる人口を比べると、北九州市は原爆被害を受けた広島市より大きく人口を減らしたが、それでも「札仙広福」より人口が多い大都市として復活した。また、三大都市圏以外で初の政令指定都市であり、1970年(昭和45年)国勢調査まで「札仙広福」4市のいずれをも圧倒していた。国調人口において「札仙広福」4市が北九州市を抜いたのは、1975年(昭和50年)の札幌市が初であり、以後、1980年(昭和55年)に福岡市、1990年(平成2年)に広島市、2005年(平成17年)に仙台市が各々抜いた。なお、「札仙広福」4市が現在のような「札・福・広・仙」の国調人口順になったのは1975年(昭和50年)以降であり、それ以前は順番の入れ替わりが何度もあった。
国勢調査人口の変遷
[編集]- 現市域にあたる地域の国勢調査合算値(単位:万人)[8]

札仙広福の変化
[編集]「札仙広福」は、4市あるいは4経済地域の頭文字を北から順に列挙して命名されているが、中枢管理機能の集積度で比べると順序は異なってくる[5]。
支社数
[編集]支社数で見ると、1970年(昭和45年)には通勤圏(都市圏)人口に等しい、福岡>札幌>広島>仙台という順番であったが、現在では福岡市がその他の3市から抜きん出た存在になっている。また、長らく4市中最下位だった仙台市が、1989年(平成元年)の政令指定都市化に伴って1990年(平成2年)以降4市中第2位の位置に定着している。他方、札幌市が1990年(平成2年)以降最下位に転落し、2005年(平成17年)には広島市が入れ替わりで最下位になったものの、2006年(平成18年)の調査では、福岡市(1,075所)、仙台市(871所)、広島市(773所)、札幌市(704所)の順に戻った[5][10]。
支社数の福岡>仙台>広島>札幌という順は、九州7県、東北6県、中国5県、北海道1道という背後ブロック圏の人口や経済規模の順と同じである[10]。これは、支社の管轄エリアが、地方中枢都市の通勤圏(都市圏)から、背後ブロック圏(経済圏)へと拡大したためと見られている[10]。なお、広島の経済的中枢管理機能の相対的低下は、中国地方が大阪と福岡により分割して管轄される例が出てきたこと[5][11]、あるいは、1988年(昭和63年)の瀬戸大橋や接続高速道路等の供用開始で東瀬戸経済圏が興隆したことを原因と見る向きがある。
本社数
[編集]2009年(平成21年)の東京証券取引所上場企業本社数調査[12] では、福岡44社、札幌32社、広島16社、仙台13社となっており、通勤圏(都市圏)人口に等しい、福岡>札幌>広島>仙台という順番を維持している。
一極集中
[編集]札幌市・仙台市は、北海道・東北の各ブロックあるいは北海道・宮城県の各道県の中で、政治・経済・文化・人口など社会における資本・資源・活動が各都市へ一極集中していることが問題視されることがある。北海道・東北は両地方とも札幌市・仙台市の他に人口35万人以上の都市が存在せず、明白な一極集中の様相となっている。
九州は福岡市の他にも北九州市・熊本市の2市が政令指定都市であり、北海道・東北ほどは首位都市以外が弱い状況ではない。ただし、1970年代まで九州最多の人口であった北九州市は政令指定都市の中では人口減が激しく、人口増が安定的な福岡市との差が広がり続けており一極集中化が問題視されることがある。
広島市は中国地方ないしは中国・四国地方内での一極集中が問題視されることはほとんどない。理由として、中国・四国地方の交通の拠点となっている隣県・岡山県の岡山市・倉敷市を中心とした岡山都市圏が広島都市圏とほぼ拮抗した人口で存在すること、上記2都市圏に加えて広島県東部の福山都市圏や瀬戸内海対岸の松山都市圏、四国地方の高等裁判所が置かれる高松都市圏、鳥取県西部と島根県東部を包括する中海・宍道湖・大山圏域など、人口60万人以上の都市圏が多数存在することが挙げられる。むしろ、中国地方が人口規模の大きい京阪神大都市圏と北九州・福岡大都市圏に挟まれていることで広島都市圏の求心力が低下していることが問題視されることがある。
統計
[編集]直近
[編集]| 統計 | 2020年[13] | 直近[† 4] | 2020年 | 2020年度 | 2020年 | 2020年 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 市 | 面積 (km2) |
総人口 (人) |
集 積 度 (%) |
国勢調査 (人)[14] |
市内総生産 (生産側)[15] |
1人当たり 市民所得 [15] |
10%都市圏 | 最高 路線価 (m2) [16] | ||
| 夜間 人口 |
昼間 人口 |
名目 | 実質 [† 5] |
人口 | ||||||
| 札幌 | 1,121.26 | 1,955,516 | 39.1 | 1,973,395 | 1,968,338 | 7兆2547億円 | 7兆497億円 | 271.6万円 | 234.4万人 | 572万円 |
| 仙台 | 786.35 | 1,094,799 | 13.5 | 1,096,704 | 1,154,586 | 5兆0385億円 | 4兆8693億円 | 306.0万円 | 162.1万人 | 318万円 |
| 広島 | 906.69 | 1,174,357 | 16.9 | 1,200,754 | 1,213,104 | 5兆1980億円 | 5兆1565億円 | 312.3万円 | 143.7万人 | 329万円 |
| 北九州 | 491.69 | 900,494 | 7.3 | 939,029 | 959,146 | 3兆6509億円 | 3兆5247億円 | 261.2万円 | 131.3万人 | 65万円 |
| 福岡 | 343.46 | 1,669,707 | 13.5 | 1,612,392 | 1,769,643 | 7兆5235億円 | 7兆3032億円 | 302.9万円 | 266.7万人 | 880万円 |
- ※ 総人口の統計方式は、札幌市が登録人口、他の4市は推計人口
- ※ 所属地方は札幌市が北海道1道、仙台市が東北6県、広島市が中国5県、北九州市と福岡市が九州7県(沖縄県除く)。
- ※ 「集積度」は、所属地方に占める当該市の総人口における百分率。
市内総生産の変遷
[編集]- 市内総生産(名目)(単位:十億円)[15]

- 市内総生産(実質:連鎖方式)(単位:十億円)[15]

2005年
[編集]| 市 (2005年) |
10%都市圏 (2005年) |
1.5%都市圏 (2005年)[18] |
2時間圏 (2001年)[19] | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 188万人 | 7.1兆円 | 福岡 | 241万人 | 福北 | 559万人 | 福岡 | 860万人 |
| 福岡 | 140万人 | 7.2兆円 | 札幌 | 233万人 | 札幌 | 261万人 | 仙台 | 480万人 |
| 広島 | 116万人 | 5.0兆円 | 仙台 | 157万人 | 仙台 | 229万人 | 広島 | 400万人 |
| 仙台 | 103万人 | 4.3兆円 | 広島 | 142万人 | 広島 | 206万人 | 札幌 | 370万人 |
| 県 / 支庁 (2005年) |
地方 (2005年) | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 福岡(福岡県) | 505万人 | 18.1兆円 | 福岡(九州地方) | 1,342万人 | 44.5兆円 |
| 広島(広島県) | 288万人 | 12.0兆円 | 仙台(東北地方) | 963万人 | 33.0兆円 |
| 仙台(宮城県) | 236万人 | 8.5兆円 | 広島(中国地方) | 768万人 | 29.8兆円 |
| 札幌(石狩振興局) | 231万人 | 兆円 | 札幌(北海道地方) | 563万人 | 19.7兆円 |
- 人口は2005年(平成17年)国勢調査に基づく。
- 「福北」は、「北九州・福岡大都市圏」のこと。
- 「石狩振興局」は、同局管内を示す。同局は石狩支庁を受け継いで2010年(平成22年)4月1日に設置された。
- 広域中心都市の各管轄地方は、「背後ブロック圏[20]」「テリトリー[5]」とも呼ばれる。福岡の背後ブロック圏(テリトリー)は、九州地方とする見方や九州に沖縄県を加えた九州・沖縄地方とする見方などがある。九州・沖縄地方の人口は1,472万人。その他、東北地方に新潟県を含める場合は1,207万人、中国・四国地方は1,176万人。
1970年以降の都市開発
[編集]札仙広福は、1970年以降に各々政令指定都市に移行し、新幹線などの交通インフラなども整えられていった。また、大規模な博覧会や新駅開発に合わせて副都心開発も行っている。
| 札幌市 | 仙台市 | 広島市 | 福岡市 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 1969年まで | |||||
| 1971年 | 7月17日 | ||||
| 12月4日 | |||||
| 12月16日 | |||||
| 1972年 | 2月 | 札幌オリンピック | |||
| 4月1日 | 政令市移行 | 政令市移行 | |||
| 4月 | (米軍から返還) | ||||
| 9月1日 | |||||
| 1973年 | 9月9日 | (新札幌副都心開発) |
|||
| 11月27日 | |||||
| 1974年 | 4月1日 | ||||
| 1975年 | 3月10日 | (東海道・山陽新幹線) | |||
| 3月13日 | |||||
| 11月28日 | |||||
| 1976年 | 6月10日 | ||||
| 1978年 | 3月18日 | ||||
| 1980年 | 4月1日 | 政令市移行 | |||
| 10月1日 | |||||
| 10月20日 | |||||
| 1981年 | 2月1日 | ||||
| 7月26日 | |||||
| 1982年 | 4月20日 | ||||
| 6月23日 | |||||
| 8月 | |||||
| 1983年 | 3月13日 | ||||
| 3月22日 | (姪浜再開発) | ||||
| 5月14日 | |||||
| 1986年 | 3月25日 | ||||
| 1987年 | 7月15日 | (長町副都心開発) |
|||
| 9月9日 | |||||
| 1988年 | 3月25日 | ||||
| 7月20日 | (滑走路3,000m化) |
||||
| 12月2日 | |||||
| 1989年 | 4月1日 | 市制100周年 | |||
| 政令市移行 | |||||
| 夏季 | グリーンフェア (泉中央副都心開発) |
海と島の博覧会 (商工センター開発) |
アジア太平洋博覧会 (シーサイドももち開発) | ||
| 1992年 | 7月1日 | ||||
| 7月15日 | |||||
| 1993年 | 3月3日 | ||||
| 10月29日 | |||||
| 1994年 | 3月30日 | ||||
| 8月20日 | |||||
| 10月 | 広島アジア大会 (西風新都開発) |
||||
| 1995年 | 中核国際港湾指定 |
中核国際港湾指定 |
中枢国際港湾指定 | ||
| 1997年 | 3月22日 | (東北・秋田新幹線) |
|||
| 3月27日 | |||||
| 1998年 | 3月 | ||||
| 1999年 | 3月27日 | ||||
| 2000年 | 3月11日 | ||||
| 2001年 | 1月25日 | ||||
| 8月1日 | |||||
| 10月2日 | |||||
| 10月13日 | |||||
| 2002年 | 3月10日 | ||||
| 5月19日 | |||||
| 6月 | FIFAワールドカップ | ||||
| 10月5日 | |||||
| 2003年 | 7月7日 | ||||
| 2005年 | 2月3日 | ||||
| 2007年 | 3月18日 | ||||
| 2007年 | 4月 | ||||
| 2010年 | 3月27日 | (ぐるっ都・仙台完成) |
|||
| 4月26日 | (高速1号線と直結) |
||||
| 12月4日 | |||||
| 2011年 | 3月12日 | (山陽・九州新幹線) | |||
| 4月29日 | |||||
| 2012年 | 7月21日 | ||||
| 2014年 | 3月26日 | (広島南道路) |
|||
| 4月1日 | |||||
| 11月 | 国家戦略特区による航空法高さ制限緩和承認開始 (天神ビッグバン計画) | ||||
| 2015年 | 3月14日 | ||||
| 5月30日 | |||||
| 12月6日 | |||||
| 12月20日 | (都心線・狸小路停留場開業) |
||||
| 2016年 | 3月26日 | (東北・秋田・北海道新幹線) |
|||
| 12月 | 広島駅南口再開発工事完了 | ||||
| 2017年 | 3月4日 | (電化復活) |
|||
| 2018年 | 11月17日 | ||||
| 2019年 | 9月 | ラグビーワールドカップ | |||
| 11月30日 | |||||
| 2021年 | 2月5日 | ||||
| 3月27日 | |||||
| 7 - 8月 | 東京オリンピック (サッカー競技、マラソン) |
東京オリンピック (サッカー) |
|||
| 12月18日 | |||||
| 2022年 | 9月23日 | ||||
| 2023年 | 3月27日 | ||||
| 2025年 | 3月20日 | ||||
| 3月24日 | |||||
| 8月3日 | |||||
| 2029年 | (広域防災拠点整備事業) |
||||
| 2031年 | 春 | ||||
| 札幌市 | 仙台市 | 広島市 | 福岡市 | ||
連携活動
[編集]バブル景気が崩壊し(参照)、21世紀の国土のグランドデザイン(五全総)の策定を前にした1994年(平成6年)2月、札幌・仙台・広島・福岡の4市に事務所を置く4つの経済同友会(北海道経済同友会・仙台経済同友会・広島経済同友会・福岡経済同友会)の関係者らが集まる第1回「北海道・仙台・広島・福岡経済同友会 四極フォーラム」が札幌で開催され、これ以降、年1回持ち回り開催された[24]。五全総が1998年(平成10年)3月31日に閣議決定されて初期の目的が達成されたことから、持ち回り開催が2巡した第8回(2000年度)をもって同フォーラムは閉幕した[24]。
2001年(平成13年)10月からは規模を縮小し、4経済同友会の役員らが集まる「札仙広福・四極円卓会議」が毎年持ち回り開催されている[24]。
高等教育機関
[編集]戦前から札幌、仙台、福岡には帝国大学が設置され、広島にも高等師範学校および文理科大学が設置されていた。福岡と広島は高等中学校(のちの旧制高等学校)誘致において19世紀に熊本(五高)と岡山(六高)にそれぞれ敗れたこともあったが、20世紀になって福岡(福高)と広島(広高)にも設置された。
| 都市 | 前身 | 大学 | 創立 | 大学設置 | 学部 |
|---|---|---|---|---|---|
| 札幌市 | 札幌農学校 →東北帝国大学農科大学 →北海道帝国大学 |
北海道大学 | 1876年 | 1918年 | 理・工・医・歯・薬・農・獣医・水産 法・文・経済・教育 |
| 仙台市 | 東北帝国大学 仙台工業専門学校 第二高等学校 宮城師範学校 宮城青年師範学校 |
東北大学 | 1907年 | 1907年 | 理・工・医・歯・薬・農 法・文・経済・教育 |
| 広島市 | 広島文理科大学 広島工業専門学校 広島市立工業専門学校 広島高等学校 広島文理科大学附属広島高等師範学校 広島女子高等師範学校 広島師範学校 広島青年師範学校 |
広島大学 | 1874年 | 1949年 | 理・工・医・歯・薬・生物生産・情報科学 法・文・経済・教育・総合科学 |
| 福岡市 | 京都帝国大学福岡医科大学 →九州帝国大学 福岡高等学校 |
九州大学 | 1911年 | 1911年 | 理・工・医・歯・薬・農・芸工 法・文・経・教育・共創 |
文化・スポーツ
[編集]プロフェッショナル
[編集]1993年(平成5年)に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が開幕し、広島は札仙広福で唯一オーケストラ、野球、サッカーの3つのプロ団体を抱えることになった。
2005年(平成17年)にプロ野球に新規参入した東北楽天ゴールデンイーグルスが、仙台市の宮城球場に本拠地をおきプロ野球地域保護権を宮城県に設定したことで、オケ・野球・サッカーのプロ団体が札仙広福4都市に揃うことになった。北海道日本ハムファイターズは2023年に札幌市の札幌ドームから北広島市のエスコンフィールドHOKKAIDOへ本拠地を移したが[25]、札幌都市圏からは離れていない。
男子バスケットボールは日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)とナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)が並立していたが、2016年に2リーグが統合しジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)が発足した。札仙広福4都市のチームがBリーグに参加し、オケ・野球・サッカー・バスケの4つのプロ団体が揃うことになった。
オーケストラ
[編集]常設かつ日本オーケストラ連盟正会員の団体を示す。統計は同連盟が公表している2004年度以降を記す[26]。
| 都市 | 楽団名 | 創立 | グラフの色 |
|---|---|---|---|
| 札幌市 | 札幌交響楽団 | 1961年 | |
| 仙台市 | 仙台フィルハーモニー管弦楽団 | 1978年 | |
| 広島市 | 広島交響楽団 | 1972年 | |
| 福岡市 | 九州交響楽団 | 1953年 |
- 年度別の総入場者数(単位:人)[27]

- ※ 多くの楽団が総入場者数を概数発表から実数発表に切り替えているが、その開始年度は札響が2005年度、仙台フィルが2009年度、広響が2007年度である。なお、九響は2015年度時点で概数発表のままであり、切り替えていない。
野球
[編集]| 都市 | 男子 | 女子 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| NPB | 九州アジアリーグ | 日本女子プロ野球機構 | |||||
| 本拠とした期間 | セ/パ | 球団名 | 本拠とした期間 | 球団名 | 本拠とした期間 | 球団名 | |
| 札幌市 | 2004年 - 2022年 [† 9] |
パ | 北海道日本ハムファイターズ | ||||
| 仙台市 | 1974年 - 1977年 | パ | ロッテオリオンズ | 2015年 - 2016年 | 東北レイア →レイア | ||
| 2005年 - | パ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | |||||
| 広島市 | 1950年 - | セ | 広島東洋カープ | ||||
| 福岡市 [† 10] |
1950年 | セ | 西日本パイレーツ | ||||
| 1950年 - 1978年 | パ | 西鉄クリッパース →西鉄ライオンズ →太平洋クラブライオンズ →クラウンライターライオンズ | |||||
| 1989年 - | パ | 福岡ダイエーホークス →福岡ソフトバンクホークス | |||||
| 北九州市 | 2022年 - | 福岡北九州フェニックス →北九州下関フェニックス |
|||||
サッカー
[編集]| 都市 | 男子 | 女子 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Jリーグ | WEリーグ | ||||||
| カテゴリ | クラブ名 | 加盟年 | J1[† 11] 初昇格 |
J1[† 11] 在籍年数 |
クラブ名 | 加盟年 | |
| 札幌市 | J2 | 北海道コンサドーレ札幌 | 1998年 | 1998年 | 13年 | - | |
| 仙台市 | J2 | ベガルタ仙台 | 1999年 | 2002年 | 14年 | マイナビ仙台レディース | 2021年 |
| 広島市 | J1 | サンフレッチェ広島 | 1993年 | 1993年 | 32年 | サンフレッチェ広島レジーナ | 2021年 |
| 福岡市 | J1 | アビスパ福岡 | 1996年 | 1996年 | 14年 | - | |
| 北九州市 | J3 | ギラヴァンツ北九州 | 2010年 | - | - | - | |
バスケットボール
[編集]| 都市 | 男子 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Bリーグ | 3x3.EXE[28] | |||||||
| カテゴリ | クラブ名 | 設立年 | B1 初昇格 |
B1 在籍年数 |
カテゴリ | クラブ名 | 加盟年 | |
| 札幌市 | B1 | レバンガ北海道 | 2011年 | 2016年 | 9年 | PREMIER | FUZ HOKKAIDO.EXE | 2022年 |
| 仙台市 | B1 | 仙台89ERS | 2005年 | 2016年 | 4年 | PREMIER | SENDAI AIRJOKER.EXE | 2018年 |
| 広島市 | B1 | 広島ドラゴンフライズ | 2013年 | 2020年 | 5年 | PREMIER | 3STORM HIROSHIMA.EXE | 2019年 |
| 福岡市 | B2 | ライジングゼファーフクオカ | 2006年 | 2018年 | 1年 | |||
セミプロ・社会人
[編集]| 都市 | 札幌市 | 仙台市 | 広島市 | 福岡市 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| チーム名 | 所属リーグ等 | チーム名 | 所属リーグ等 | チーム名 | 所属リーグ等 | チーム名 | 所属リーグ等 | |
| 野球 [† 12] |
JR北海道硬式野球クラブ | 日本野球連盟 | JR東日本東北硬式野球部 | 日本野球連盟 | JR西日本硬式野球部 | 日本野球連盟 | KMGホールディングス硬式野球部 | 日本野球連盟 |
| 北海道ガス硬式野球部 | 日本野球連盟 | 七十七銀行硬式野球部 | 日本野球連盟 | 広島鯉城クラブ | 日本野球連盟 | 西部ガス硬式野球部 | 日本野球連盟 | |
| 東北マークス | 日本野球連盟 | MSH医療専門学校硬式野球部 | 日本野球連盟 | |||||
| フットサル | エスポラーダ北海道 | F2 | ヴォスクオーレ仙台 | F2 | ||||
| エスポラーダ北海道イルネーヴェ | WOMEN'S F.LEAGUE | |||||||
| バレーボール | 北海道イエロースターズ | V.LEAGUE MEN | リガーレ仙台 | V.LEAGUE WOMEN | 広島サンダーズ | SV.LEAGUE MEN | ||
| アルテミス北海道 | V.LEAGUE WOMEN | 広島オイラーズ | V.LEAGUE WOMEN | |||||
| ハンドボール | イズミメイプルレッズ広島 | リーグH 女子 | ||||||
| ラグビー | 中国電力レッドレグリオンズ | リーグワン DIVISION 3 | 九州電力キューデンヴォルテクス | リーグワン DIVISION 2 | ||||
| マツダスカイアクティブズ広島 | リーグワン DIVISION 3 | |||||||
| アメリカンフットボール | PLEIADES福岡SUNS | X1 SUPER | ||||||
| ホッケー | コカ・コーラレッドスパークス | さくらリーグ | ||||||
| 卓球 | 九州カリーナ | Tプレミア 女子 | ||||||
| バドミントン | 七十七銀行バドミントン部 | S/Jリーグ 女子 | ||||||
| 東北マークス | S/JリーグⅡ 男子 | |||||||
施設・組織など
[編集]| 札幌市 | 仙台市 | 広島市 | 福岡市 | |
|---|---|---|---|---|
| 高等裁判所 | 札幌高等裁判所 |
仙台高等裁判所 |
広島高等裁判所 |
福岡高等裁判所 |
| 旧帝大・旧官大 | 北海道大学 |
東北大学 |
広島大学[† 13] |
九州大学 |
| 地方銀行 (第一地方銀行) |
北海道銀行 |
七十七銀行 |
広島銀行 |
福岡銀行 西日本シティ銀行 |
| 新聞 (朝刊発行部数) |
北海道新聞 (約102.5万部) |
河北新報 (44万7429部) |
中国新聞 (63万9084部) |
西日本新聞 (約65.9万部) |
| 代表駅 | 札幌駅 |
仙台駅 |
広島駅 |
博多駅[† 14] |
| 地下鉄 (地下鉄認定長) |
札幌市営地下鉄 (3路線 48.0km) |
仙台市地下鉄 (2路線 28.7km) |
広島高速交通 (1路線 0.3km)[† 15] |
福岡市地下鉄 (3路線 31.4km) |
| 空港 | 新千歳空港[† 16] |
仙台空港[† 17] |
広島空港[† 18] |
福岡空港 |
| 港湾 (貨物取扱量) |
苫小牧港 (1億560万トン) |
仙台塩釜港 (3677万トン) |
広島港 (1192万トン) |
博多港 (3253万トン) |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 例えば、人口変動から見たわが国大都市圏の変容過程 (PDF) (日本政策投資銀行)。この論文において「福」は、北九州・福岡大都市圏を指している。
- ^ 1964年(昭和39年)に経済企画庁が提案した。
- ^ a b 広島市は瀬戸内工業地域の中心的な工業都市である。
- ^ 統計年月日は、札幌市が2025年10月31日、仙台市が2025年10月1日、広島市が2025年10月1日、北九州市と福岡市が2025年9月1日。
- ^ 連鎖方式
- ^ 当初の正式名称は「塩釜港仙台港区」。現在の正式名称は「仙台塩釜港仙台港区」。
- ^ 当初の正式名称は「仙台南有料道路」。現在の正式名称は「仙台南部道路」。
- ^ 小学校開校、入居開始
- ^ 2023年から北広島市のエスコンフィールドHOKKAIDOに移転したが、北広島市は札幌都市圏に当たるため、札幌都市圏からは離れていない。
- ^ 1943年2月に大洋軍が福岡市に本社を置く西日本鉄道に譲渡され西鉄軍と改称したが、同社所有の春日原球場をはじめとする九州の野球場で公式戦を開催したことはなかった。また、当時はフランチャイズ(地域保護権)の考え方が規定上明文化されていなかった。なお、西鉄軍は1943年12月に解散した。
- ^ a b J2設立以前の1998年までのJリーグも含む。
- ^ 都市対抗野球大会、社会人野球日本選手権大会、全日本クラブ野球選手権大会の出場経験のある、現存するチームのみ記載。
- ^ 本部とメインキャンパスは東広島市に所在。
- ^ 中心街である天神地区の代表駅は西鉄福岡(天神)駅(乗換駅:天神駅・天神南駅)。
- ^ 新交通システムで、全長は18.4km。地下鉄として扱われる区間が0.3km。
- ^ 千歳市と苫小牧市に所在。札幌市中心部から南東約40kmの距離にある。
- ^ 名取市と岩沼市に所在。仙台市中心部から南南東約14kmの距離にある。
- ^ 三原市に所在。広島市中心部から東約50kmの距離にある。
出典
[編集]- ^ 次代へ 市政の課題(上)(朝日新聞 2011年3月22日)
- ^ 都市の物語-3-札幌,仙台,広島,福岡--「さっせんひろふく」に富は流れる(エコノミスト / 毎日新聞社 1993年10月5日)
- ^ データからみる政令指定都市「新潟」―札幌・仙台・広島・福岡・静岡・金沢との比較― (PDF) (日本政策投資銀行 2007年2月)
- ^ 都市・地域レポート2008概要 (PDF) (国土交通省都市・地域整備局)
- ^ a b c d e f g h i 日本の都市システムと地域構造 (PDF) (総合研究開発機構)
- ^ 地方中枢都市圏(国土交通省 用語解説ページ)
- ^ 2 中国地方開発促進計画(第1次)の策定と推進 (PDF) (中国地方総合研究センター)
- ^ a b 大都市比較統計年表 > 人口(大阪市)
- ^ 平成27年国勢調査 調査の結果(総務省統計局)
- ^ a b c 企業の事業所配置と地域の将来展望 (PDF) (総合研究開発機構)
- ^ 『変貌する日本のすがた』(古今書院)
- ^ 上場企業本社数及び外資系企業の立地数 (PDF) (横浜市)
- ^ 全国都道府県市区町村別面積調(国土交通省国土地理院)
- ^ 令和2年国勢調査 調査の結果(総務省統計局)
- ^ a b c d 県民経済計算(内閣府)
- ^ 財産評価基準書路線価図・評価倍率表(国税庁)
- ^ a b 平成17年度県民経済計算について Archived 2009年1月2日, at the Wayback Machine.(内閣府)
- ^ 第1部 結果の解説 第2章 人口の地域分布 2-4 大都市圏・都市圏の人口 (PDF) pp.24-25(総務省統計局「平成17年国勢調査 最終報告書「日本の人口」上巻-解説・資料編」)
- ^ 広島都市圏みちづくり懇話会 (PDF) p.17(19枚目)(国土交通省中国地方整備局)
- ^ 資料6(仙台市の現況-札仙広福の比較から-) (PDF) (2006年6月20日 仙台都市ビジョン会議 第1回作業部会配布資料)
- ^ a b c d e f g h i j 地下鉄・空港アクセス鉄道等開業一覧(H25.4.1現在) (PDF) (国土交通省)
- ^ “JR貨物の新駅、29年度完成目標 仙台・岩切で地盤工事”. 河北新報オンライン (2023年5月19日). 2025年5月18日閲覧。
- ^ “整備新幹線、前倒し開業正式決定 840億円新たに投入”. 朝日新聞(朝日新聞デジタル) (朝日新聞社). (2015年1月14日). オリジナルの2015年1月14日時点におけるアーカイブ。 2015年1月14日閲覧。
- ^ a b c 仙台経済同友会 創立60周年記念誌(仙台経済同友会 2008年5月29日 発行)
- ^ “「エスコンフィールド」開幕戦は楽天勝利 伊藤裕が新球場第1号!日本ハム-楽天/ライブ詳細”. 日刊スポーツ. (2023年3月30日) 2023年3月31日閲覧。
- ^ 加盟オーケストラ(日本オーケストラ連盟)
- ^ a b オーケストラ実績一覧(日本オーケストラ連盟)
- ^ “チーム”. 3x3exe.com. 2025年5月19日閲覧。
参考文献
[編集]- 阿部和俊・山崎朗『変貌する日本のすがた―地域構造と地域政策』古今書院、2004年

