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Gentoo Linux

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Gentoo Linux
Gentoo stylized "g" logo
Gentoo Linux 12.0 LiveDVD
開発者 Gentoo Foundation
OSの系統 Unix系,Linux
開発状況 開発中
ソースモデル フリー/オープンソースソフトウェア
初版 2002年3月31日 (23年前) (2002-03-31)
最新安定版 ローリングリリース / インストールメディアは約1週間ごとにリリースされる
リポジトリ ウィキデータを編集
アップデート方式 Continual
パッケージ管理 Portage
プラットフォーム amd64, i486, Alpha, ARM,HPPA, IA64, PowerPC, PowerPC 64, S390, sh, SPARC , MIPS(実験的)
カーネル種別 モノリシックカーネル
既定のUI コンソール, フレームバッファ, X Window System (various)
ライセンス GPL
ウェブサイト www.gentoo.org
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Gentoo Linux(ジェンツー・リナックス[1][2][3][4])とは、Linuxディストリビューションの一つである。パッケージ管理システムPortageを採用しており、プロプライエタリなソフトウェアも含んでいる。

概要

他の多数のLinuxディストリビューションと異なる点がいくつかあり、その一つに挙げられるのが自分でソフトウェアをコンパイルする、ということである。その際、ユーザーは比較的簡単にコンパイルオプションを調整することができる。また、一部のソフトウェア(Mozilla FirefoxOpenOffice.orgなど)では環境にあった最適化などを犠牲に、導入時間の短縮などを目的として他のLinuxディストリビューションなどでみられるような予めコンパイルされたソフトウェアパッケージを導入することもできる。 また、インストールの方法も特徴的である。インストールハンドブックで推奨されている方法は、LiveCDでシステムを起動し、Linuxカーネルなど、最小限起動に必要な実行ファイルをインターネット経由でダウンロードし、Chrootコマンドなどを実行した後、Portageを使ってシステムを構築していく、というものである。 Gentooはその「無限に近い適応性」のために、メタディストリビューションと説明されることもある[5]。 マスコットキャラクターは、Larry the Cow[6]Gentooという名称は、ジェンツーペンギンが由来とされる。

パッケージ管理システム

Gentoo Linuxのパッケージ管理システムはPortageと呼ばれる。

Portageでは、パッケージのインストール手順を記したebuildと呼ばれるスクリプトを参照してシステムを構築する。 パッケージ管理コマンドEmergeが、ebuildに沿ってソースコードダウンロードコンパイルし、所定のディレクトリにインストールを行なう。 RPMなどのようなシステムとは違い、バイナリからではなくソースコードから構築を行うのが大きな特徴の一つである。

ソースコードから構築するという特性を生かし、事前にUSEフラグを指定しておくことにより、必要に応じてパッケージの機能を取捨選択してコンパイルを行うことができる。 このため、全体として柔軟性やカスタマイズ性が非常に高い。 また、共通のバイナリパッケージを使うのではなく、CPUの特性に合わせてバイナリを作成できるのでパフォーマンスも高くなる。 異なるアーキテクチャでも同じebuildを使用するので、メンテナンス性、移植性も高い。

その一方、マシンの性能が低い、または低速な回線を用いて稼働させる場合はソースコードのコンパイルやダウンロードに非常に時間がかかるため実用的ではない。 これを補うため、2003年から2008年までGRP (Gentoo Reference Platform) と呼ばれるインストール形態があった。 これによりあらかじめコンパイルされたパッケージを用いてインストールを素早く行うことができる。 ただし当然のことながらGRPを用いた場合には、ソースコードから構築することで生じる数々の利点を享受できない。

Portageのカスタマイズ性の高さから、Google Chrome OSは基盤となるLinuxシステムのディストリビューションにGentoo Linuxを使用している[7]

難易度

公式のインストーラーが存在しないので、インストールの難易度は最上級ともいわれる。しかし、ソースコードのダウンロード、設定、コンパイル、インストールを自動的に実行してくれる機構があるので、Slackwareと比べると管理は容易にできる。ただ、一年間ほどアップグレードをせずに放置しておくと互換性がなくなり、通常の手順でアップグレードができなくなる。その場合は難易度の高い手順を経る必要がある。

対応環境

Gentoo は元々 x86 環境用に設計されたが、LinuxGCCGlibcPortage の高移植性により、多くの他の環境へ移植された。

歴史

誕生

  • Gentoo Linuxディストリビューションの誕生[8]
  • Enoch発Gentoo行き(「若干の"つまずき"と"いさかい"」経由)[9]
  • Linuxからの離脱と復帰[10]

リリースメディア一覧

Gentoo Linuxは、ローリングリリースモデルを採用しているため、一般的なLinuxディストリビューションの「バージョン番号」にあたる概念は存在しない。

ただし、ある時点でのパッケージを収集したLive DVDが定期的にリリースされており、これらには便宜上、バージョン番号が付与されている。

リリースメディアのバージョン履歴
バージョン リリース年月日 補足
0.75 (Enoch Linux) 1999年12月
pre-1.0 2000年7月26日
1.0 2002年3月31日
1.1a 2002年6月10日
1.2 2002年6月10日
1.4 2003年8月5日 このバージョンからGRPが提供された。
1.4 maintenance release 1 2003年9月11日
2004.0 2004年3月1日 このバージョンから1年間に4回のリリースに変更された。
2004.1 2004年4月28日
2004.2 2004年7月26日
2004.3 2004年11月15日
2005.0 2005年3月27日 このバージョンから1年間に2回のリリースに変更された。
2005.1 2005年8月8日
2005.1-r1 2005年11月21日 メンテナンスリリース
2006.0 2006年2月27日
2006.1 2006年8月30日
2007.0 2007年5月7日
2008.0 2008年7月6日
週間リリース開始 2008年8月22日
リリースメディア特別版のバージョン履歴
ベースバージョン 名称 リリース年月日 情報
Unreal Tournament 2003 Live CD 2002年9月18日
10.0 2009年10月4日 10周年記念特別エディション
10.1 2009年10月10日 上記特別エディションの修正版
11.0 2011年4月8日 上記特別エディションのアップデート版
12.0 2012年1月2日
12.1 2012年4月1日 "Install Wizard"のエイプリルフール付き
20121221 End of World Edition 2012年12月21日 2012年人類滅亡説のパロディ
20140826 Iron Penguin Edition 2014年8月26日
20160514 Choice Edition 2016年5月14日
20160704 Choice Edition Part Dos 2016年7月4日
20170118 Crispy Belgian Waffle Edition 2017年1月18日

派生版

Gentoo 系統樹

Gentoo Linux派生版一覧に掲載されるもの。

Distribution Description
Chrome OS Chrome OS[14][15]は、Googleが開発しているOS。2010年2月に、母体となるOSをubuntuからGentooに変更した。Chromium OSは、Google Chrome OSのオープンソース版。
Container Linux 旧称は、CoreOS Linux。軽量なOSである。
Sabayon Linux Gentoo Linuxの派生GNU/Linux。Gentooの特徴である機能拡張はなりを潜めているが、様々なアプリケーションが同梱されているLive DVD。

脚注

  1. ^ 無償Linuxディストリビューション Linux.com(Linux Foundation
  2. ^ Linuxディストリビューション OSS Japan
  3. ^ Gentoo Linux 日立ソリューションズ IT用語辞典
  4. ^ 「Linux」の他の読み方についてはこちらを参照
  5. ^ Gentoo Linux - About Gentoo”. Gentoo.org (2007年9月17日). 2010年8月3日閲覧。
  6. ^ http://www.gentoo.org/main/ja/about.xml
  7. ^ The secret origins of Google's Chrome OS”. ZDNet (2013年3月6日). 2017年10月8日閲覧。
  8. ^ http://www.ibm.com/developerworks/jp/linux/library/l-dist1/index.html
  9. ^ http://www.ibm.com/developerworks/jp/linux/library/l-dist2/index.html
  10. ^ http://www.ibm.com/developerworks/jp/linux/library/l-dist3/index.html
  11. ^ Gentoo Linux - New release strategy to provide more current install media”. Gentoo.org (2008年9月22日). 2010年6月14日閲覧。
  12. ^ Gentoo Linux - Ten Years Compiling: 1999 - 2009”. Gentoo.org (2009年10月4日). 2010年6月14日閲覧。
  13. ^ Gentoo LiveDVD "Crispy Belgian Waffle", FOSDEM 2017 edition”. LWN.net (2017年2月15日). 2017年10月8日閲覧。
  14. ^ Chromium OS Developer Guide”. 2015年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月29日閲覧。
  15. ^ Chromium Project FAQ”. 2018年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月20日閲覧。

外部リンク

関連項目