Arch Linux
![]() Arch linux (KDEデスクトップ) | |
開発者 | Aaron Griffin |
---|---|
OSの系統 | Linux |
開発状況 | 開発中 |
ソースモデル | オープンソース |
最新安定版 | 2008.06 (Overlord) / 2008年6月24日 |
リポジトリ | |
プラットフォーム | i686, x86-64, PowerPC(非公式) |
カーネル種別 | モノリシックカーネル |
ライセンス | 様々 |
ウェブサイト | http://www.archlinux.org/ |
Arch Linux(あるいはArch)は軽量かつシンプルであることを目的として開発されている独立系Linuxディストリビューション[1]。開発チームの設計アプローチは、「シンプリシティ」、エレガンス、コードの正確性、およびミニマリズムにフォーカスしている[2]。「シンプリシティ」(Simplicity)とは、Arch Linuxの言うところでは「…不必要な追加、修正、あるいは複雑化を伴わない…」ことであり、それは利用者の立場よりも開発者の立場からの見た場合のことだと定義している[3]。
Arch Linuxは「ローリング・リリース」システムを採用しており、新しいパッケージは日々提供される。このパッケージ管理は、利用者がシステムの最新状態を維持することを可能にしている[4]。Arch Linuxは、利用者にディストリビューションリリースごとのアップグレードを奨励するのではなく、単に最新のパッケージセットのスナップショットを、時には修正インストールソフトウェアとともにリリースする。最初のリリースである 0.1(コードネーム Homer)は2002年3月11日に公開された。
Arch Linuxはジャッド・ヴィネットにより設立され、彼は2007年10月1日までプロジェクトを率いたが、自身の時間不足を理由に辞任した。ジャッドはCRUXやその他の最小主義ディストリビューションを使用していてArch開発を思い立った。プロジェクトは2007年10月1日以降アーロン・グリフィンが率いている[5]。
Arch Linuxの Arch の発音は、[ɑːrtʃ]または[aːtʃ](例えば archer や parchment など。カタカナにするならどちらにしても「アーチ」)である[6]。よく似た名前のディストリビューションに「Ark Linux」があり直接関係はないが、「我々は名称をArk Linuxに変更します」とアナウンスしたエイプリルフールのネタに利用された[7]。
デザイン
スリムなデフォルトインストールでは、シンプルなGNU/Linux環境、すなわちGNUツールチェーン、Linuxカーネル、少数の追加モジュールとライブラリ、およびbashシェルのみがインストールされる[8]。さらにシステムカスタマイズおよび拡張(ウィンドウマネージャやデスクトップ環境などのソフトウェアの追加)にはPacmanを利用し、選択された追加パッケージはインターネット経由でインストールされる。従って、他のオペレーティングシステムに比べArch Linuxは、一般にインストールに関していくぶん挑戦的であると言われる[9]。
Arch LinuxはBSDスタイルのinitフレームワークを使用し、大部分はバイナリパッケージで形成される。パッケージは最新のハードウェアでのパフォーマンスを重視し、i686およびx86-64マイクロプロセッサを対象としている。
パッケージ管理
すべてのパッケージはPacmanパッケージマネージャを使用して管理される。Pacmanはパッケージのインストール、アップグレード、削除、ダウングレード、データベースおよび依存関係の自動解決を行う。PacmanはC言語で記述されている[10]。Arch LinuxのパッケージはArch Linuxパッケージツリーから取得し、i686およびx86-64用に最適化されている。Arch Linuxはインストールに都合のよい、tar.gz形式のバイナリパッケージでの提供を基本とするが、Portsライクなソースパッケージ管理システムABS(Arch Build System)も用意されている。ABSはパッケージのソースtarボールからpkg.tar.gzパッケージへコンパイルし、それをPacmanを通してインストールする[11]。
ABSはPKGBUILDSと呼ばれるシェルスクリプトのディレクトリツリーを提供し、公式のものを含むあらゆるパッケージのカスタマイズ、コンパイル、およびパッケージ化を可能にする(インストールと削除はその後にPacmanにより行われる)。コンパイラフラグを変更したシステム全体のリビルドもABSによりサポートされる。ABS makepkgツールはサード・パーティソフトのソースからカスタム.pkg.tar.gzパッケージを作成する際に使用される。作成されたパッケージもまたPacmanによりインストールおよび管理が可能である。
現在、4つの公式リポジトリが用意されている:
- core
- 基本システムをセットアップするために必要なすべてのパッケージが収容される。
- extra
- 基本システムでは必要とされない、デスクトップ環境およびプログラムが収容される。
- testing
- 「core」あるいは「extra」リポジトリへの登録候補に挙げられているパッケージが収容される特殊なリポジトリ
- community
- コミュニティによりビルドされ、票決されたパッケージが収容される。十分な数の投票を得て、「信任ユーザ」(trusted user)により採用されたパッケージが登録されている。
開発版リポジトリは2008年7月をもって停止され、ほとんどのパッケージは他のリポジトリへ移動した[12]。これら公式リポジトリに加え、利用者が提供するリポジトリが多く存在し、カスタマイズされた、または新しいバージョンの標準ソフトウェアパッケージが提供されることもある。
バージョン
Arch Linuxはローリング・リリースシステムを採用しているため、ディストリビューションの明確なバージョンは存在しない。
- 2008-06-24: 2008.06, Overlord
- 2008-03-31: 2008-03-1, Core Dump
- 2007-10-07: 2007.08-2, Don't Panic
- 2007-08-05: 2007.08, Don't Panic
- 2007-05-17: 2007.05, Duke
- 2007-03-31: 0.8, Voodoo
- 2006-05-23: 0.7.2, Gimmick
- 2006-01-05: 0.7.1, Noodle
- 2005-01-24: 0.7, Wombat
- 2004-03-01: 0.6, Widget
- 2003-06-21: 0.5, Nova
- 2002-12-18: 0.4, Dragon
- 2002-08-07: 0.3, Firefly
- 2002-04-17: 0.2, Vega
- 2002-03-11: 0.1, Homer
ライブUSB
Arch LinuxのライブUSBを、マニュアルで、あるいはUNetbootinを使用して作成することができる[13]。
関連項目
脚注
- ^ “ArchWiki :: Beginners Guide - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “The Arch Way”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “phraktured.net: Archway”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “DVD-Guides.com - Arch Linux Review”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “Arch Linux Forums / Arch Leadership”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “[arch] Pronnounciation of our beloved distribution's name”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “We're Changing Our Name!” (2007年4月1日). 2008年7月14日閲覧。
- ^ “ArchWiki :: Beginners Guide - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “Wordpress :: Arch 2008.06 Review”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “ArchWiki :: Pacman - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “ArchWiki :: ABS - The Arch Build System - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
- ^ “Arch Linux Newsletter 08-04-2008” 2008年9月7日閲覧。
- ^ UNetbootin - Universal Netboot Installer
外部リンク
- 公式サイト
- DistroWatch: Arch Linux
- A collection of Arch Linux books for free download
- Interview with Judd Vinet about Arch Linux
- The Big Arch Linux Interview, an interview with most of the Arch Linux developer team