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JR北海道の車両形式

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北海道旅客鉄道(JR北海道) > JR北海道の車両形式

JR北海道の車両形式(ジェイアールほっかいどうのしゃりょうけいしき)は、北海道旅客鉄道に在籍する、あるいは在籍した鉄道車両の一覧である。

概要

北海道の冬季における厳しい自然環境に対応するため、日本国有鉄道(国鉄)時代から独自の改造や専用形式の導入などが行われており、視認性確保のため多灯とされた前照灯二重窓や固定窓の採用、客室のデッキあるいはエアーカーテンの設置、などの特徴がある。また、JR旅客6社で唯一直流型電車を所有したことがない。

耐寒・雪氷対策

キハ283形0番台(キハ283系気動車)。登場後にすべての側面窓をポリカーボネート板で覆う改造工事がなされた。
モハ735形(735系電車)。 混雑に対応するため、広幅とされながらも、片開き扉を採用する。 床下は機器カバーを装備する。写真左の車体側面にあるルーバーは車内の雪切室につながる外気採入口。
キハ261系1000番台のN-DT261A台車。踏面両抱き式のブレーキ装置を採用し、制輪子も合金鋳鉄制輪子である。

耐寒性能については、2017年平成29年)時点で、新規に設計する在来線車両については以下の通り車両・機器の設計仕様を定めている[1]

  • 動作保証温度(確実に動作する温度範囲):-35 ~ +40℃
  • 性能保証温度(フル性能を発揮できる温度範囲):-20 ~ +40℃

また、以下の対策がなされている[1]

窓へのポリカーボネート使用
従来から走行中の列車に付着した氷塊がトンネル内で落下し、バラストを跳ね上げたことにより、窓ガラスに当たるなどする現象が発生していたが、1999年(平成11年)12月に、走行中の特急列車に付着した氷塊がトンネル内で落下し、跳ね上げたバラストがトンネル側壁と車体でバウンドし、窓ガラスを破損、乗客が負傷する事故が発生した。これはJR化後の列車高速化も一因と考えられており、これを受け、110 km/h 以上で走行する車両については客室側窓のガラスを厚さ8 mm のポリカーボネート板で覆っている[1][2]。この処置はその後新規に開発された車両についても同様であり、2006年開発のキハ261系1000番台以降の車両では、ポリカーボネートと強化ガラスの複層ユニット窓が採用されている[1][3]
また、その他の窓も視認性に関わる運転席前面窓を除いてポリカーボネートが採用されており、採用後は類似の破損事故はほぼ皆無となっている[1]
ドア構造
現在定期運用を行う車両についてはデッキ・客室内への雪の吹込みと、戸袋内への雪侵入による開閉不良防止のため、片開きの引き戸(一部外開きプラグドア)を基本としている[1][注 1]。このため通勤・近郊型についても片開扉が採用されており、731系電車1996年)では札幌圏のラッシュに対応すべく1,150mmの大開口片開扉が採用された。
加えて、風止ゴムの構造の工夫や、ドアの高気密化によりこれら吹込みや不良を防止している。
電車の床下機器カバー・台車・主電動機冷却の工夫
前述の着雪の落下予防や、入区時の融雪作業の省力化のため、床下機器への着雪を防止する必要があった。このため785系500番台2002年)以降の電車については、床下機器カバーを採用し、床下機器の底面を極力そろえ、機器箱間も塞いでいる[1][2]。なお、気動車については熱源があることから床下機器カバーは採用されていない[2]
また、電車・電気式気動車の主電動機の冷却については雪の影響を受けないよう配慮がなされている。初の専用電車形式であった711系1968年)以来、車体側面のルーバーから取り込んだ外気から雪切り室によって雪を分離したものを冷却風として送風する強制風冷式が採用されていたが、733系3000番台2014年)以降の車両については全閉自己通風式主電動機を採用することで、雪切り室を廃止している[1]。このほか、動力伝達装置にもカバーを配置している[1]
ブレーキ装置
湿潤時等の摩擦係数が安定している鋳鉄制輪子を採用しており、苗穂工場開発・製造(製造はその後グループ会社の札幌工営に委託)の合金鋳鉄制輪子としている。また、高速車両については踏面両抱き式として高速域からのブレーキ力を確保している[1]

現在の所属車両

新幹線電車

蒸気機関車

ディーゼル機関車

電車

気動車

客車

導入予定車両

過去の所属車両

蒸気機関車

電気機関車

ディーゼル機関車

電車

  • 特急形
  • 近郊形

気動車

客車

貨車

脚注

注釈

  1. ^ それ以外の扉構造としては711系試作車で4枚折り戸を採用した事例などがある。
  2. ^ かつては207号機も保有したが、2023年2月末時点でJR北海道が車籍を有する車両には含まれていない[4]
  3. ^ a b c d 保留車のみ残存。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 鬼頭智明・曽我賢一「JR北海道の在来線車両における冬季対策」『R&m:Rolling stock & machinery』第25巻第1号(通巻796号)、日本鉄道車両機械技術協会、2017年1月1日、pp.20-25,図1p、ISSN 0919-6471 
  2. ^ a b c 本間 吾理紗「「未来へつなぐ」(2011年2月号) 『鉄道車両の寒冷地対策』」(PDF)『安全性向上のための取り組み 6.車内誌「THE JR Hokkaido」に掲載した安全への取り組み』、北海道旅客鉄道、2011年2月。オリジナルの2015年7月25日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150726070520/http://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/safe/pdf_07/201102.pdf2017年10月2日閲覧 
  3. ^ IGP®(複合ユニット窓)』(プレスリリース)東邦シートフレーム。オリジナルの2018年7月22日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180722144320/https://toho-sf.co.jp/train/lineup.html2018年7月22日閲覧 
  4. ^ 『鉄道ダイヤ情報 2023年5月号』交通新聞社、2023年3月20日、30頁。 
  5. ^ a b c 737系通勤形交流電車が登場します』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2022年8月17日。オリジナルの2022年8月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20220820110442/https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220817_KO_737.pdf2022年10月5日閲覧 
  6. ^ 田中 雅久 (2022年8月18日). “苫小牧―室蘭間に新車両「737系」導入 JR北海道、来春から”. どうしん電子版. オリジナルの2022年8月21日時点におけるアーカイブ。. https://archive.ph/dnwz3 2022年8月21日閲覧。 
  7. ^ 2023年3月ダイヤ改正について』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2022年12月16日。オリジナルの2022年12月16日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20221216121934/https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/221216_KO_kaisei.pdf2022年12月16日閲覧 

関連項目

外部リンク