Cloud Native Computing Foundation
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略称 | CNCF |
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設立 | 2015 |
種類 | 501(c)(6) organization |
目的 | クラウドネイティブソフトウェアのための持続可能なエコシステムの構築 |
エグゼクティブディレクター | Priyanka Sharma |
上部組織 | Linux Foundation |
ウェブサイト | http://www.cncf.io |
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)はLinux Foundationのプロジェクトで、コンテナ技術の発展と、その進化に関連するテクノロジ業界の連携を支援するために2015年に創設された。これはGoogleがシード技術としてLinux Foundationに寄贈した、オープンソースのコンテナクラスタマネージャKubernetes 1.0と同時に発表された。創立メンバーには、Google、CoreOS、Mesosphere、Red Hat、Twitter、ファーウェイ、Intel、Cisco、Docker、Univa、VMwareなどが名を連ねる。現在、CNCFは450人以上のメンバーによってサポートされている。CNCFが管理する技術に関して適任の代表者を確立するために、2016年8月にトロントで開催されたCloudNativeDayでプログラムが発表された。
プロジェクトのエグゼクティブディレクターは、2020年までシリアル・アントレプレナーのDan Kohn(Core Infrastructure Initiativeの立ち上げにも協力した)が務め、2020年8月年現在[update]は、Priyanka Sharmaが務めている[1]。
2020年1月には、前年のCNCF年次報告書が発行され、会員数、イベントへの参加、トレーニング、業界への投資などを通じて、CNCFが大きく成長したことが報告された。2019年には、CNCFは前年比50%増の173人の新規会員を獲得し、エンドユーザーは90%近く増加した。
2018年8月、GoogleはKubernetesの運用をコミュニティに移管したことを発表した。創設以来、CNCFは多くのホスト型サブプロジェクトを立ち上げてきた。
CNCFプロジェクト
CNCFの技術的なプロジェクトは、成熟度のレベルの順にSandbox、Incuvated、Graduatedとしてカテゴライズされる[2]。定義の条件には、プロジェクトの採用、寿命、オープンソースプロジェクトがプロダクショングレードの製品を構築できるほどの信頼性を持っているか、などがある[3]。
CNCFのプロセスはプロジェクトをincubatedプロジェクトとして取り上げ、graduatedプロジェクトにまで成長させることを目的としており、これはプロジェクトのプロセスと技術の成熟度を反映している[4]。 graduatedにカテゴライズされたプロジェクトは全体的な成熟を反映しており、コントリビューションの多様性、コミュニティの規模や成長、プロジェクトの採用などについてティッピング・ポイントを超えたと判断されたプロジェクトということになる[5]。
CNCF Sandboxは初期段階のプロジェクトのための場所として、2019年3月に初めてアナウンスされた。Sandboxは、もともと「inception project level」と呼ばれていた場所を置き換えるものである[6]。
2020年7月、Priyanka Sharmaは、CNCFではクラウドネイティブエコシステム内のオープンソースプロジェクトの数を増やしていく予定であることを発表した[7]。
Graduatedプロジェクト
Containerd
containerdは業界標準のコアコンテナランタイムである。現在はLinuxとWindows向けのデーモンとして利用でき、ホストシステムの完全なコンテナライフサイクルを管理できる。2015年、DockerはOCI Specificationをruncと呼ばれるリファレンス実装とともにLinux Foundationに譲渡し、2019年2月28日以降、公式のCNCFプロジェクトになった[8]。2017年、Dockerはcontainerdが一般利用可能(GA)であること、プロジェクトをCNCFに寄贈することを発表した[9][10]。
CoreDNS
CoreDNSはプラグインを組み合わせて使用するDNSサーバーである。2019年にgraduationが発表された[11]。
Envoy
EnvoyはもともとLyftでアーキテクチャをモノリスから移行するために構築された。Envoyは高性能なオープンソースのエッジおよびサービスプロキシであり、アプリケーションにネットワーク透過性をもたらすことができる。2017年9月、LyftはEnvoyをCNCFに寄贈した[12]。
Fluentd
Fluentdはオープンソースのデータコレクタであり、ユーザーが「データの使用と理解をより良く行うために、データの収集と消費を統合」[13]することを可能にする。Fluentdは2016年にCNCFに参加し、2019年にgraduatedプロジェクトになった[14]。
Helm
Helmは開発者が「アプリケーションの管理やKubernetesクラスターへのデプロイするのを簡単にする」のを助けるパッケージマネージャーである[15]。2018年6月にincubatingレベルになり、2020年4月にgraduatedプロジェクトになった[16]。
Jaeger
Jaegetは、GoogleのDapper論文とOpenZipkinコミュニティにインスパイアされたUberのエンジニアにより開発された分散トレーシングシステムである。マイクロサービスベースのアーキテクチャのトレーシングに利用できる。機能としては、分散コンテキスト伝搬、分散トランザクションモニタリング、根本原因の分析、サービス依存関係の分析、性能・レイテンシーの最適化などがある。2017年9月にCNCFのTechnical Oversight CommitteeはJaegerの受け入れを可決し[17]、2019年にgraduatedプロジェクトになった[18]。2020年には、CNCFエコシステムに認められた完全に統合されたパーツとなった[19]。
Kubernetes
Kubernetesはコンテナ化されたアプリケーションをクラスター環境で自動デプロイ・自動管理するオープンソースのフレームワークである。「Kubernetesは、さまざまなインフラストラクチャに関連する分散型のコンポーネントを管理するためのよりよい方法を提供することを目的としている。」[20]
もともとGoogleで設計され、Cloud Native Computing Foundationを立ち上げるためのシード技術としてLinux Foundationに寄贈された[21]。プロジェクトを支援する「大規模で多様性のある」コミュニティが、同様の目的を持った他の技術や古い技術よりも頑強な持続力をもたらしたと考えられている[22]。2020年1月、CNCFはKubernetesに関連する関心、トレーニング、イベントへの参加、投資の大幅な成長を示す年次レポートを発表した[23]。
Prometheus
Prometheusは、CNCFのメンバープロジェクトで、初期にはSoundCloudによってスポンサーされていたクラウドモニタリングツールである。現在はDigital Ocean、Ericsson、CoreOS、Docker、Red Hat、Googleなどでも使用されている[24]。2018年8月、PrometheusはCNCFのgraduatedプロジェクトになった[25]。
Rook
RookはCNCFの最初のクラウドネイティブのストレージプロジェクトである[26]。2018年にincubationレベルのプロジェクトになり[27]、2020年10月にgraduatedプロジェクトになった[28]。
The Update Framework
The Update Framework(TUF)は開発者が新規・既存ソフトウェアのアップデートシステムをよりセキュアにするのを補助するフレームワークである。TUFはこの広範に存在する問題に対して、包括的で柔軟なセキュリティフレームワークを提供することで、開発者が任意のソフトウェアアップデートシステムを統合できるようにする。TUFはCNCFの最初のセキュリティにフォーカスしたプロジェクトであり、CNCFがホストするプログラムの全体で9番目のgraduatedプロジェクトとなった[29]。
Vitess
VitessはMySQLの水平スケーリングを実現するためのデータベースクラスタリングシステムである[30]。もともとYouTubeの内部で使用するために開発されたものである。2018年にCNCFプロジェクトになり、2019年11月にgraduatedプロジェクトになった[31]。
CNCFイニシアティブ
CNCFはクラウドネイティブコミュニティに対して、以下のような多数の取り組みやイニシアティブをホストしている。
イベント
CNCFは同じ場所で行われるカンファレンスKubeConとCloudNativeConをホストしており、Kubernetesとクラウドネイティブの知識を増やしたいと考えているテクニカルユーザーとビジネスプロフェッショナルにとって重要なイベントになっている。イベントは、業界の仲間や思想的リーダーとのコラボレーションを可能にすることを目指している[32]。KubeCon + CloudNativeCon North America 2018はシアトルのWashington Convention Centerで開催された[33]。KubeCon + CloudNativeCon North America 2019は11月18日から11月21日にカリフォルニア州サンディエゴで開催された[34]。同じ場所で開催されるイベントはKubeCon EuropeとKubeCon Chinaも行われるようになった[35]。North Americaのイベントは、COVID-19パンデミックのために2020年のシーズンから完全にリモートモデルに移行した。11月17日から11月20日までオンラインで行われる[36]。
ダイバーシティ奨学金と公平とインクルージョンに対する立場
CNCFのダイバーシティ奨学金(Diversity Scholarship)プログラムは、KubeCon + CloudNativeConのカンファレンスのチケット代と旅費を支給するものである[37]。2018年には、多様性を拡大してマイノリティの背景がある人々がシアトルで行われるKubeConとCloudNativeConに参加できるように支給された金額は、300,000ドルに上った[38]。
2020年8月、Priyanka SharmaはCNCFはBlack Lives Matter運動に対して「連携する(in solidarity)」という立場を取ることを発表した。また、Sharmaは次のようにも述べている。「個人的にコードから人種的に問題のある言葉を根絶するプロジェクトにも関わって」おり、CNCFは「クラウドネイティブエコシステム内部でのジェンダーと人種的バランスを向上するために活発に取り組んで」いる。特にKubeConに関しては、LGBTQIA+、女性、黒人や褐色人種の人たち、能力の異なる人たちなどに対して場所や機会を作ることに引き続き取り組んでいく、と[39]。
その他
その他にも以下の取り組みやサービスの提供を行っている。
- Kubernetes certification and education
- Kubernetes software conformance and training
- Cloud Native Landscape
- Cloud Native Trail Map
- DevStats
- CNCF Technology Radar
出典
- ^ “Staff” (英語). Cloud Native Computing Foundation. 2020年8月16日閲覧。
- ^ “Project Services and Maturity Levels”. Cloud Native Computing Foundation. 2020年2月17日閲覧。
- ^ “How a Project Graduates from the Cloud Native Computing Foundation” (英語). The New Stack (2018年12月26日). 2020年1月20日閲覧。
- ^ “Kubernetes Graduates CNCF Incubator, Debuts New Sandbox”. serverwatch.com. 2020年1月20日閲覧。
- ^ “Open Metrics Project Comes to the Cloud Native Computing Foundation”. serverwatch.com. 2020年1月20日閲覧。
- ^ Vizard, More from Mike (2020年7月8日). “CNCF Looks to Increase Open Source Sandbox Projects” (英語). DevOps.com. 2020年7月20日閲覧。
- ^ “Cloud Native Computing Foundation Announces containerd Graduation” (2019年2月28日). 2020年11月15日閲覧。
- ^ “Announcing the General Availability of containerd 1.0, the industry-standard runtime used by millions of users” (英語). Docker Blog (2017年12月5日). 2020年1月20日閲覧。
- ^ “Docker to donate containerd to the Cloud Native Computing Foundation” (英語). Docker Blog (2017年3月15日). 2020年1月20日閲覧。
- ^ Claburn, Thomas (2019年1月24日). “CoreDNS is all grown up now and ready to roll: Kubernetes network toolkit graduates at last”. The Register. 2020年1月20日閲覧。
- ^ Klein, Matt (2017年9月13日). “Envoy joins the CNCF” (英語). Medium. 2020年1月20日閲覧。
- ^ Project, Fluentd. “What is Fluentd? | Fluentd” (英語). fluentd.org. 2020年1月20日閲覧。
- ^ Project, Fluentd. “Fluentd joins the Cloud Native Computing Foundation | Fluentd” (英語). fluentd.org. 2020年1月20日閲覧。
- ^ “Harbor Container Registry Project Advances” (英語). Container Journal (2019年9月23日). 2020年1月21日閲覧。
- ^ “Cloud Native Computing Foundation Announces Helm Graduation” (英語). cncf.io (2020年4月30日). 2020年5月1日閲覧。
- ^ “Jaeger Emerges as Meister of Cloud Monitoring” (英語). EnterpriseAI (2019年11月1日). 2020年1月20日閲覧。
- ^ “Jaeger Graduates CNCF, Sees a Future Without Native Jaeger Clients” (英語). The New Stack (2019年11月4日). 2020年1月20日閲覧。
- ^ “Kubernetes’ Helm gets full Cloud Native Computing Foundation approval”. ARN. 2020年7月6日閲覧。
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- ^ Lyons Hardcastle, Jessica (2018年1月29日). “CNCF's First Cloud-Native Storage Project Is Rook”. SDXCentral. 2020年11月15日閲覧。
- ^ “Rook, an open-source project adding storage to Kubernetes, joins the Cloud Native Computing Foundation” (英語). GeekWire (2018年1月29日). 2020年1月21日閲覧。
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- ^ Schmidt, Julia (2019年12月19日). “The Update Framework becomes ninth project to graduate CNCF • DEVCLASS” (英語). DEVCLASS. 2020年1月20日閲覧。
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- ^ Sawaya, Sydney (2019年11月6日). “Vitess Earns Venerable CNCF's Graduate Distinction”. SDXCentral. 2020年11月15日閲覧。
- ^ Aniszczyk 2019-05-16T11:00:28Z, Chris. “Five things the KubeCon + CloudNativeCon Europe 2019 run-up reveals about Kubernetes and Cloud Native” (英語). ITProPortal. 2020年1月20日閲覧。
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- ^ “KubeCon 2020 preview: Session guide for Kubernetes beginners” (英語). SearchITOperations. 2020年11月2日閲覧。
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- ^ “KubeCon and CloudNativeCon 2018 Summary: Kubernetes 1.13, Envoy Update, and New Hosted Projects”. InfoQ. 2020年1月20日閲覧。
- ^ “KubeCon EU, CNCF Community, and the Role of the Cloud during the Pandemic: Q&A with Priyanka Sharma” (英語). InfoQ. 2020年8月16日閲覧。