コンテンツにスキップ

電波型式の表記法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。219.117.191.166 (会話) による 2011年10月29日 (土) 05:21個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

電波型式の表記法(でんぱかたしきのひょうきほう)は、総務省令電波法施行規則(以下、「施行規則」と略す。)第4条の4に規定する、電波変調方式(ラジオ放送で言えばFMAM等の違い)や占有帯域幅を表す表記法である。 電波法令およびこれに基づく行為にはこれにより表記される。

表記法

1979年(昭和54年)の世界無線通信主官庁会議(WARC79)で採択されたもので、日本では昭和58年郵政省令第9号による施行規則改正により同年7月1日施行された。 但し、アマチュア無線局については、平成15年総務省令第107号による同規則改正により平成16年1月13日施行された。 なお、無線局免許状の表記については、同規則附則にある経過措置により免許の有効期限内は書換えを要しない。

電波型式の表記法
一字目 二字目 三字目
搬送波の変調形式 記号 主搬送波を変調する信号の性質 記号 伝送情報 記号
無変調 N 変調信号なし 0 無情報 N
振幅変調 両側波帯 A 副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャンネル 1 電信(聴覚受信) A
単側波帯 全搬送波 H
低減搬送波 R
抑圧搬送波 J 電信(自動受信)・印刷電信(RTTY) B
独立側波帯 B 副搬送波を使用するデジタル信号の単一チャンネル 2
残留側波帯 C
角度変調 周波数 F ファクシミリ C
位相 G データ伝送、遠隔測定、遠隔指令 D
振幅変調および角度変調であって、同時に、または一定の順序で変調するもの D アナログ信号の単一チャンネル 3
パルス変調 無変調 P デジタル信号の二以上のチャンネル 7 電話(音響の放送を含む) E
振幅 K
幅、または時間 L
位置、または位相 M アナログ信号の二以上のチャンネル 8 テレビジョン映像F
パルス期間中に角度変調 Q
上記の組み合わせ、または他の方法 V
上記に該当しないもので、振幅、角度またはパルスのうち二以上を組合わせて、同時に、または一定の順序で変調するもの W 1以上のアナログ信号チャンネルと、一以上のデジタル信号チャンネルの複合方式 9 組み合わせ W
その他 X その他 X その他 X

占有帯域幅の表記

特に必要がある場合は、占有帯域幅を現す数字最大三桁と記号を組み合わせたものを付加する。

0以外の数字で始まるようにし、小数点の位置に、K・M・Gなどの記号を入れ位取りを表す。

  • 3.5kHz→3K50
  • 15kHz→15K
  • 100kHz→100K(0M10とは表記しない)
  • 4.5MHz→4M50

表記例

  • ラジオ放送
    • AM、短波ラジオ放送(モノラル)→A3E
    • AMラジオ放送(ステレオ)→D8E
    • FMラジオ放送(モノラル)→F3E
    • FMラジオ放送(ステレオ)→F8E
  • アナログテレビ放送
    • 映像部分→C3F
    • 音声部分(モノラル)→F3E
    • 音声部分(ステレオ・音声多重放送)→F8E
  • デジタルテレビ放送→X7W
  • FAX→J3C,F3C
  • 標準電波電波時計)→A1B
  • オービス(速度違反取締機)→N0N
  • アマチュア無線
    • CW→A1A
    • AM→A3E
    • FM→F3E
    • SSB→J3E
    • RTTY(ラジオテレタイプ)→F1B
  • モールス信号→A1A,A2A,F2A

旧表記

昭和35年郵政省令第18号による施行規則改正の同年9月27日施行によるものである。

電波型式の表記法(旧表記)
一字目 二字目 三字目
主搬送波の変調 記号 伝送の型式 記号 補足的特性 記号
振幅変調 A 情報を送るための変調の無いもの 0 両側波帯
変調用可聴周波数を使用しない電信 1 単側波帯 低減搬送波 A
一もしくは二以上の変調用可聴周波数の電鍵開閉操作、または変調波の電鍵開閉操作(特別の場合には、電鍵を操作しない変調波)による電信 2 全搬送波 H
周波数(位相)変調 F 抑圧搬送波 J
電話(音響の放送を含む) 3 二独立側波帯 B
ファクシミリ(主搬送波を直接に、または周波数変調した副搬送波で変調したもの) 4 残留側波帯 C
テレビジョン(映像のみ) 5 パルス 振幅変調 D
パルス変調 P 四周波ダイプレックス 6 幅、時間変調 E
音声周波多重通信 7 位相、位置変調 F
上記に該当しない伝送、または複合した伝送 9 符号変調 G

アマチュア無線局に関して

一括記載コード

アマチュア無線局に対してのみ、複数の電波型式を一括して表示する一括記載コードが適用される。無線局免許状や無線局事項書(工事設計書を除く。)には指定周波数毎にコードに含まれる電波型式について一括して表記される。

無線業務日誌、交信証の表記

無線業務日誌(交信ログ)や交信証(QSLカード)は、私文書(無線業務日誌の備付けは義務付けられていない、総務省告示[1]第1条の表の第3項を参照。)でありこの表記法によることを要さない。一般的にも「AM」「FM」「SSB」「CW」などの英字表記を用いる。

脚注

  1. ^ [1]「電波法施行規則第38条の2及び第38条の3の規定による時計、業務書類等の備付けを省略できる無線局及び省略できるものの範囲並びにその備付け場所の特例又は共用できる場合」(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)