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API規格

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API規格(エーピーアイきかく)とは、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute) が定めた石油に関する規格の総称のことである。日本国内では一般にはエンジンオイルのグレードを定めていることで知られているが、これは油田における原油生産設備からパイプライン輸送、石油製品の製造まで、数多くの規格が定められているものの中のごく一部である。エンジンオイルの規格の認証・ライセンスの発行はEolcsが行う。

エンジンオイルの品質規格

ガソリンエンジン

オイルの酸化安定性、デポジット防止性、サビ・腐食・磨耗防止性、洗浄性、蒸発性、せん断安定性など多くの審査項目からSA~SMまで11種類のグレードに分類される(SIとSKは他の用語との関係等から除外されている)。使用するオイルと自動車の製造年代のマッチングについても言及しているため、SA~SGなど1980年代以前の古い自動車を対象としたグレードのオイルが市販されていることは少ない。近年設定されたSLグレードから、エンジンへの影響評価ばかりではなく、二酸化炭素炭化水素窒素酸化物の排出削減、オイル交換時期の延長など環境評価としての側面を打ち出したことが特徴。2000年前後に、表示されたグレードに達しない基準のエンジンオイルがアメリカ国内で市販され、規格の信頼性が問題となったが、新グレードの設定などの措置を行い対処したとしている。日本国内では、欧州のACEA規格よりも認知度は高く、ホームセンターカー用品店でユーザーがオイルを選ぶ基準の一つにもなっている。

現状(2008年現在)では日本国内においてSM規格が最高規格となっている。SL規格との違いは新型排気触媒に対する対応の有無が主なものとなっている。特に新型車に使用されている高効率の新触媒は、SL規格までに比較的含まれていたリン分により大きなダメージを受けるため、リン分を大幅削減してあるSM規格以上のオイルを使用することが望ましい。尚、SL規格とSM規格の違いはこのリン分含有率以外はオイル性能基準に大きな差はない。

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジン用のオイルには、CA 以下、CF-4までのグレードが日本国内ではあり、乗用車農業機械向けには CD級のオイルが一般に良く用いられる。尚、ディーゼルエンジンに必要とされる成分(特に軽油内の硫黄分に対応するための酸化防止剤や、すすに対する清浄分散剤)の含有量が少ないので、殆どのガソリンエンジン専用オイルを流用することは不可である。ただし、合成油など、添加剤配合量の元々多いオイルはガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方に共用できるタイプのオイルも一部で流通している。これらはAPI規格のディーゼルオイル規格が付いているかどうかで判断する。

尚、ディーゼルエンジン普及率が5割に達する欧州ではこの規格はCIまである。これは日本では既にディーゼルエンジンオイルはAPI規格ではなく、日本技術会の規格であるDH1、DH2、DL1の規格を使用することが主流となってきているためである。この規格とAPI規格との大きな違いはオイル自体の性能重視だけではなく、DPFに与える影響度を考慮して定められている規格となっていることである。従って、CF-4規格自体がかなり旧い規格のため、既に現状のDPF対策が施されていないオイルに対しても与えられている規格となっており、DPF装着車にAPI規格しか記載されていないオイルを使用する際は注意が必要である。

外部リンク