種玉編次抄
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種玉編次抄(しゅぎょくへんじしょう)とは、連歌師宗祇(1421年(応永28年)-1502年(文亀2年))による『源氏物語』の注釈書。全1巻。本書は宗祇が1499年(明応8年)に富小路俊通に付託したことから、宗祇晩年の成立とみられる。
表題
「種玉編次抄」とするものが宮内庁書陵部蔵本など最も多いが「源語編次抄」(げんごへんじしょう、桃園文庫蔵本)や「源氏雑乱抄」(げんじざつらんしょう、東北大学図書館蔵本)、「源氏物語宗祇抄」(げんじものがたりそうぎしょう、九州大学図書館蔵本)などするものもある。「抄」の字は「鈔」とされることもある[1]。
内容
本書は源氏物語の年立を考察した注釈書である。大筋で一条兼良が確立した源氏物語の年立(いわゆる旧年立)を受け継ぎながら一部に独自の見解を加えている。年立に関連して議論になる難解な120箇所あまりを抄出し、『河海抄』や『花鳥余情』など先行する注釈書の説を引用して文脈に即した詳しい注釈がなされている。匂宮巻から椎本巻までの5巻を扱った第一次本と宿木巻までを含めた第二次本が存在する[2]。
匂宮巻以降の年立と巻序について作品内での薫の呼称の変化がその官位の変化を正しく反映しており、かつ現行の源氏物語の巻序の順序通りに作品内での時間が進んでいるとすると薫の官位は一度上がったあとで下がったという異例の事態が発生していることになるが、作品内には(光源氏の須磨退去のような)それを思わせるような事実は見られないため、巻序のほうを入れ替えて理解するべきであるといった考察を行っている[3]。
翻刻本
- 「種玉編次抄」『増補 国語国文学研究資料大成3 源氏物語』上、三省堂、初版1960年(昭和35年)、増補版1977年(昭和52年)、pp.. 300-303。
- 中野幸一編『源氏物語古註釈叢刊 第4巻 明星抄・種玉編次抄・雨夜談抄』武蔵野書院、1980年(昭和55年)12月。 ISBN 978-4-8386-0056-4
関連項目
参考文献
- 「種玉編次抄」井伊春樹編『源氏物語 注釈書・享受史事典』東京堂出版、2001年(平成13年)9月15日、pp.. 401-402。 ISBN 4-490-10591-6
