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Scalable Link Interface

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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Scalable Link Interface (SLI) とは、NVIDIAマルチGPU動作システムである。二枚あるいはそれ以上のビデオカードを並列動作させ、出力は一つに集約させることで、コンピュータグラフィックスの処理を高速に行うことができる。派生した規格としてHybrid SLIがある。

技術

元々は3dfxScan-Line Interleaveとして開発し、Voodoo2で導入した技術である。2基のVoodoo2チップをシステムに搭載させ、画面の走査線を奇数と偶数で分けることでそれぞれのVoodoo2チップが並列して描画する。当時の3D描画機能としては極めて高い水準にあり、他社製品を大きくリードした。

Voodoo2の時代に開発されたSLI技術は、3dfxを買収したNVIDIAがPCI Express用に改良し、Geforceシリーズの機能の1つであるSLI(Scalable Link Interface)として実装された。これは画面を奇数・偶数走査線に分けて描画する3dfxのSLIに対し、画面を上下2分割(或いは搭載チップ数で分割)、フレーム毎に担当GPUを分ける方式で、3dfx SLIが潜在的に持っていたメモリコヒーレンシの解消を狙ったものである。

同様の手法はATIのRAGE FURY MAXXにも取り入れられ、また同社のRADEON X850以降で採用されたCrossFire (ATI)として利用されている。

効果

ATIのCrossFireと同様、2つのGPUによる並列処理により、グラフィック性能を高めることができる。対応ソフトウェアにおける平均的な処理速度上昇率はおよそ1.87倍となっている。特にDirectX10、シェーダモデル4.0となった最近では、重宝する技術である。

ワークステーションサーバの場合には、Quadro Plex (Quadroの項参照)を導入することでもSLIを利用できる。

応用

SLIの延長技術として、Quad SLIや3-way SLIがある。Quad SLIは、2個のGPUを搭載したデュアルGPUカードを2枚用いてSLI動作させることにより、処理速度がおよそ3.4倍となる。しかし、SLI動作可能なデュアルGPUカードは種類が少なく高価であるため、通常のSLIとQuad SLIの中間技術としてグラフィックスカード3枚で構築できる3-way SLIが考案された。3-way SLIを利用すれば処理速度が最大2.8倍になると謳われている。ただし、対応プラットフォームが数少ないため一般にはあまり普及していない。

その他、組み込みのオンボードグラフィックスと、外付けした1枚以上のグラフィックスカードの間でSLIを構築する技術、Hybrid SLIが2008年に発表されている。これは、ATIのHybrid CrossFireXに相当する。

特徴

  1. 基本的にノースブリッジサウスブリッジからの接続なのでPCI Expressレーン数を増やすのが容易な代わり、ボトルネックが発生しやすい(ノースブリッジとサウスブリッジ一体型タイプもある)
  2. NVIDIA製のチップセット以外では基本的に動作しないものであったが、2008年8月28日(日本時間)、NVISION08においてIntel X58 ExpressチップセットでネイティブでのSLI動作をサポートする事を発表した。NVIDIAはSLI対応サードパーティー製チップセットの開発を認めていない。[1]
  3. 同じメーカーの同じ製品を使用しないと、フリーズしてしまい、セーフモードで起動する羽目になる。[2]
  4. AFRモードではfpsが稼ぎやすいが、1フレームの処理時間が短くなるわけではないため、レスポンスの向上は限定的となる (理論値66%~)。4GPUの場合、さらにこの現象が顕著になる (理論値40%~)。

LinkBoostテクノロジー

チップセット「nForce 590 SLI」使用マザーボードにおいて「GeForce7900GTX」でSLIを組むと、ノースブリッジとサウスブリッジ間およびPCI Expressで帯域が125パーセント(毎秒8GBから10GB)になる。これはつまりオーバークロックなのだが設計段階で考慮されていることで、これによって壊れた場合もマザーボードメーカーのサポートを受ける事が出来る。

なお、GeForce 8800シリーズはこれをサポートせず、7900GTXは生産打ち切りとなった。

関連項目

CrossFire (ATI)

外部リンク

脚注

  1. ^ Intel 5400チップセット搭載のSkulltrailプラットフォームではSLI動作が可能であるが、エンスー向けであり出荷量が少ないことと、nForce 100というNVIDIAのブリッジチップを採用しているためである。解放しない理由としては、Intel等他社に開放した場合にNVIDIA製チップセット搭載のマザーボードが売れなくなることを懸念していると言われている。
  2. ^ ForceWare 81.84β以降のドライバーにより、異なるメーカーでの同一GPUのグラフィックボードによる、SLIでの動作が可能となった。だが、この様な使用法はパーツメーカーの保証対象外となる事が多い。また、それ以前、特にごく初期の頃のSLIはきわめてピーキーで、レビューなどを行うライターなどにも異なるグラフィックボードを組み合わせる事に挑戦してグラフィックボードを故障させた者などが出た。