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樗木武

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樗木武(ちしゃき たけし、1939年 - )は、日本の工学者

1962年に九州大学工学部土木工学科を卒業ののち、日本国有鉄道、九州大学工学部助手を経て、1968年に長崎大学助教授に就任。同大学工学部に新設された構造工学科の発展に貢献し、また土木工学科(現社会建設工学科)の設立に奔走した。

1969年九州大学助教授(工学部土木工学科)に配置換え。1982年に同教授となり、新たな学問の体系である土木計画学の確立および都市の総合的な交通計画手法の発展に努力した。その後1993年には、工学部土木工学科の改組に伴い、建設都市工学科の都市システム工学講座の設立を推進し、初代教授となって都市計画の学問的発展に寄与した。また、工学部付属環境システム工学研究センターの設立に努力するとともに、大学移転問題に取り組んだ。2002年同大学を退官し、名誉教授となっている。

なおこの間、カリフォルニア大学バークレイ校のassociate researcherを経験し、また長崎大学、宮崎大学、佐賀大学、熊本大学、九州工業大学、京都大学、大分高専、西日本工業大学、九州産業大学、九州共立大学、東和大学、韓国の東義大学、東亜大学、忠洲産業大学、安陽大学、建設技術研究院、中国の武漢建設大学校、イランのシラーズ大学、台湾の海洋大学などで非常勤講師を務め、あるいは特別講義などを行っている。さらに、土木学会理事、同西部支部評議員、商議員、日本都市計画学会九州支部副支部長、同支部長、アジア交通計画学会(EASTS-Japan)理事、九州都市学会理事などを務め、㈶福岡都市科学研究所の評議員および特別研究員、㈳九州経済調査会の客員研究員などを兼任した。

研究面では、トンネル力学の学問的体系化に努め、その一方で、土木計画学、交通計画学、都市計画に関する基礎的研究を推進し、それらの学問的体系化に貢献した。それらの成果は、国内外にわたる多数の論文として発表するとともに、著書欄に示す諸書として公表されているが、特に土木計画学、土木計画数学1、2(いずれも森北出版)は、当時における新たな学問の体系化への寄与として注目される。また、トンネル力学(共立出版)、都市の交通計画(共立出版)、都市計画(森北出版)はそれぞれに行った一連の研究を集大成したものである。さらに、1997年にはアジア交通学会で最優秀論文賞が、2002年度には日本都市計画学会から功績賞が授与されている。

こうした研究に合わせて、それらの実務への活用にも努力している。特に、九州地方における社会資本の整備や地方計画・まちづくり、地域計画などに関して、それぞれの分野の諸事業、諸プロジェクトに指導的役割を果たした。主要なものとして、トンネルについては高速道路トンネル(八代-鹿児島間の肥後トンネル、加久藤トンネル、九州横断道の嬉野トンネルなど)、九州新幹線トンネル(鹿児島-八代間のシラス地帯のトンネル、筑紫トンネルなど)、福岡市の地下鉄工事に伴う技術指導がある。また、北部九州、長崎、熊本、佐賀、鹿児島、大分、宮崎、佐賀の各都市圏における総合交通体系調査および交通マスタープランづくりに参画し貢献した。あるいは、九州の諸市町村における社会交通実験を指導した。さらに、九州諸都市の総合計画や都市計画、まちづくり、地区計画、都市計画道路の見直し、九州の地方計画、県境をまたぐ諸地域の地域振興計画や開発計画、幹線道路の計画、鉄道ヤード跡地の整備計画(香椎、鳥栖、八代、鹿児島)、福岡県下の諸都市圏計画、九州の在来鉄道(宮崎、大分、博多、鳥栖、久留米、熊本、武雄、長崎)および新幹線(船小屋、久留米、鳥栖、博多、諫早)の駅周辺整備計画、九州の高速道路問題、都市の鉄道計画(福岡市、北九州市)、港湾計画(博多港、中津港)、空港問題(福岡、新北九州、佐賀空港)などの検討や計画立案に参画し、指導的役割を果たしている。なお、こうした活動に対し、福岡市から功績者表彰(1999)を、また日本道路公団九州支社長表彰章などを授与されている。

九州大学退官後は、道守九州会議の設立に貢献し、その代表世話人を務めるとともに、NPOタウンコンパス(理事長)、㈳九州建設弘済会(理事、公益委員)、などの活動にかかわり社会貢献を果たした。また、財団法人福岡アジア都市研究所の理事長として都市政策研究の推進、アジアの都市問題研究にあたっている。さらに、九州風景街道推進会議および同基本問題小委員会の委員として日本風景街道の九州における指導、推進に当たるとともに、北部九州地域と韓国南部地域の交流連携プロジェクトや、アジア交通学会福岡大会、日韓研究機関会議、アジア都市サミットなどの世話に携わっている。

加えて、九州におけるさまざまな審議会、委員会の会長、委員長、委員として活動した。国有財産九州地方審議会、九州地方交通審議会、国鉄清算事業団資産処分専門委員(九州)、鉄道建設公団西ブロック入札監視会委員会、日本道路公団アドバイザー会議(九州)、九州地方建設局入札監視委員会および事業再評価検討委員会、福岡県総合計画審議会、都市計画審議会、入札監視員会、事業評価委員会、交通対策協議会、土地利用審査会、政府調達苦情処理検討委員会、福岡市総合計画審議会、都市計画審議会、開発審議会、特別保有税審議会、博多港地方港湾審議会、太宰府市都市計画審議会、志摩町都市計画審議会など枚挙にいとまないところである。

略歴

  • 1939 滋賀県生まれ
  • 1962 九州大学工学部土木工学科卒業
  • 同   日本国有鉄道入社
  • 1965 九州大学工学部助手
  • 1968 長崎大学工学部助教授
  • 1969 九州大学工学部助教授
  • 1982 九州大学工学部教授
    (環境システム工学研究センター長)
  • 2000 九州大学工学研究科教授
  • 2001 九州大学工学研究院教授
  • 2002 九州大学名誉教授
    NPOタウンコンパス理事長
  • 2003 道守九州会議代表世話人
  • 2005 財団法人福岡アジア都市研究所理事長


主な著書

  • マトリックス構造解析 共立出版 1972
  • トンネル力学     共立出版 1977
  • 土木計画数学1 (共著) 森北出版 1983  
  • 土木計画数学2 (共著) 森北出版 1984
  • 土木計画学      森北出版 1989

  (後に中国語翻訳出版)

  • 土木工学ハンドブック(16編主査、分担執筆)技報堂出版 1989
  • 演習土木計画数学 (編集、分担執筆)  森北出版 1991
  • 交通計画学 (共著) 共立出版 1993
  • 都市計画       森北出版 1997
  • アジアの都市計画 (分担執筆)  九大出版会 1999
  • City Planning in Asia(分担執筆) 九大出版会 2001
  • 私の考えるクルマ社会(分担執筆) 共立出版 2002
  • 交通工学(分担執筆)      朝倉書店 2002
  • ユニバーサルデザインのまちづくり 森北出版 2004

  (後に韓国語(ハングル)翻訳出版)

  • 道路の計画とデザイン  (共著) 共立出版 2005
  • よく知ろう都市のことを (共著) 共立出版 2005
  • 都市の交通計画(編集主査、分担執筆)共立出版 2006
  • 道守たちの道、路と風景街道  道守九州会議  2007
  • 日本風景街道ーその理念と未来(分担執筆) 道守九州会議 2008