XML Paper Specification
XML Paper Specification (XPS) は、マイクロソフトがWindows VistaやOffice2007に投入している電子文書規格。PDFと競合関係となる。
概要
かつてのコード名は「Metro」といった。配布形態、記録方式、レンダリング等の形式が規定されており、そのマークアップ言語はWindows Presentation Foundationによる「XAML」のサブセットである。結果としてWindowsアプリケーションのレンダリング手法がそのままXPS文書にも使用可能となる。
XPSはAdobe主導のPDFに対抗するものだが、PDFと異なり動的コンテンツを含むことが出来ない。あくまでも静的な電子文書である。マイクロソフトは2007年6月1日までにXPSDrvソリューションに対し付加機能の追加を行う旨のコメントを出している。
この規格にはキヤノン、エプソン、ヒューレット・パッカード、リコー、ゼロックスといった有力企業が賛同している。
ライセンス
規格の普及促進のために、マイクロソフトはXPS文書のレンダリングや作成に関する機能の実装に対し、ライセンスフリーとし、ユーザーが自由にリーダー(閲覧ソフト)や作成ソフトの開発が出来るようにするという。
提供される環境
XPSはWindows 2000、Windows XP、Windows Server 2003にも導入することが出来る。
- Microsoft .NET Framework 3.0をインストール
- Microsoft Core XML Services (MSXML) 6.0をインストール
- Microsoft XPS Essentials Packをインストール
以上で、仮想プリンタとして「Microsoft XPS Document Writer」が、ビューワとして「XML Paper Specification Viewer」がインストールされる。ただし「Microsoft XPS Document Writer」はWindows 2000に対してはサポートされていない。
「Microsoft XPS Document Writer」は「Acrobat Distiller」に、「XML Paper Specification Viewer」は「Adobe Reader」に対応していると考えればわかりやすい。
ファイル構造
Microsoft XPS Document Writerによって生成されたXPS文書は、拡張子.xpsのついたZIP圧縮ファイルである。展開すると、以下のようなファイル群から成り立っていることが分かる。
- [Content_Types].xml
- 格納ファイル群のコンテンツタイプを記述したXMLファイル
- FixedDocumentSequence.fdseq
- 各ファイル群の階層構造を示すXMLファイル
- _rels
- 各パーツの関連性(リレーションシップ)を記述するファイルを格納するフォルダ
- Documents
- フォントデータ、画像ファイル、コンテンツ等を記述したファイル群を格納したXPSの中核となるフォルダ
- Metadata
- メタデータを記述したファイルを格納するフォルダ