OpenSound Control
OpenSound Control(OSC)とは、電子楽器(特にシンセサイザー)やコンピュータなどの機器において音楽演奏データをネットワーク経由でリアルタイムに共有するための通信プロトコルである。カリフォルニア大学バークレー校にある CNMAT(The Center for New Music and Audio Technologies)が開発した。
概要
OSC は MIDI の代替となることを意図している。MIDI は1983年に実装されたもので、最近のマルチメディア用途には適していない部分が多い。通信プロトコルであるため、OSC によって、楽器や MIDI コントローラや各種マルチメディア機器が屋内のネットワーク(TCP/IP、イーサネット)やインターネットを経由して通信することが可能となる。OSC はブロードバンド・ネットワークの速度で動作するため、低速なMIDIでは不可能だったリアルタイム性のある新たな利用方法が可能となっている。また、転送データの柔軟性も増しており、より高度なレベルでの通信が可能である。
OSC は様々なプロトコル上で転送可能だが、一般に UDP が使われる。なお、同じチームがかつて開発した ZIPI プロトコル(Zeta Instrument Processor Interface)は失敗に終わった。
特徴:
- オープンエンドで動的なURL風の命名規則を採用
- 記号的データと高精度数値データ
- 1つのメッセージの受信者を複数指定できるパターンマッチ言語
- 細かい時刻タグ
- 同時に発生すべき効果を指定したメッセージ群を集めた「バンドル」
- OSCサーバの持つ機能を動的に探したり、文書を入手するのに使われるクエリシステム
OSC の実装はいくつもあり、リアルタイム音響処理環境、ウェブ操作ツール、ソフトウェアシンセサイザー、各種プログラミング言語、ハードウェア機器などがある。OSC は、コンピュータを使った音楽表現、ネットワークによる分散音楽システム、プロセス間通信、単一のアプリケーションでも使われている。
OSC は LADSPA API の進化した DSSI プラグイン API の中心部にも使われており、GUIと演奏アプリケーションなどとの通信を担当している。LADSPA と DSSI は、音響効果・合成に関する Linux API である。
OSC を実装しているソフトウェアの例:
- Bidule
- ChucK
- Csound
- Isadora (v.1.1)
- Max/MSP
- Pure Data
- Reaktor
- SuperCollider
- Squeak
- Traktor DJ Studio
- Mxwendler
- Crystal Space
- GlovePIE
OSC を実装しているハードウェアの例:
2007年9月、コントローラ、シンセサイザー、ホスト間の通信のための SYN 名前空間 標準の提案がなされている。
参考文献
- Wright, M., Freed, A., "Open Sound Control: A New Protocol for Communicating with Sound Synthesizers", International Computer Music Conference, Thessaloniki, Greece, 1997.
外部リンク
- OpenSound Control page at CNMAT
- opensoundcontrol.org
- OpenSound Control Oss4art