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ABC記譜法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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 ABC記譜法(ABC music notation、あるいは、Abc notation)は、パソコン等で使われる音楽記述言語の一つである。単に「ABC」とも、また小文字で「abc」とも言う。イギリスのChris Walshawが考案した方式で、音高を表すアルファベットと、音長を表す洋数字、その他の若干の記号を組み合わせて表記する。

 ABC記譜法によって表記された「ABC譜」は、通常のワープロソフトだけで作成可能であり、慣れればメロディーを読み取ることもできる。もちろん、各種の関連ソフト(大半がフリーウェアやシェアウェアで、ネット上からダウンロードが可能である)を使えば、ABC譜を自動的に五線譜に変換したり、ABC譜をMIDIファイルに変換することも簡単である。自分が採譜ないし作曲した曲をネット上にアップロードしたり、ネット上からデータをダウンロードするのにも便利である。

 ABC譜はアスキー文字を並べただけなので、通常の電子メールでも相手に送れる。

 欧米のサイトでは、ABC譜による楽曲の厖大なデータが公開されている(そうした楽曲の多くは民俗音楽である)。そのため、ABC記譜法をマスターすると、うろ覚えの曲を「検索」して調べることもできる。例えば、町のパブのセッションでちょっと聞いただけのアイルランドの伝統音楽の旋律の一部を、自分でABC譜に直したうえ、その文字列を検索エンジンに入力して検索をかけると、元の正確な曲を探すことができる。

 このような長所があるため、欧米のネットユーザーのあいだでは、ABC記譜法はかなり普及している。

 例として、日本の民謡「そうらんぶし」をABC譜で表記すると、以下のようになる。


X:1

T:sooranbushi

M:2/4

L:1/8

K:F

C2 DF | A2 GF | A2 GF | G2 FC | D2 FC | D2 D2 | z2 z2 ||

zG AA | GA AA | GA AA | GF D2 | zA, CA, | CD GF | zG AF | DC FD | D z CC |

DF A2| A3 c | G F2 C | D2 D2 | D2 z2||


X:1 は、ファイルナンバーの1、を表す。

T:sooranbushi は、タイトルが「ソーランブシ」であることを表す。

M:2/4 は、四分の二拍子であることを表す。

L:1/8 は、一文字の長さを8分音符とすることを表す。

K:F は、キーがFメジャー、すなわち調号がヘ長調であることを示す。

C2 DF | A2 GF | A2 GF | G2 FC | D2 FC | D2 D2 | z2 z2 ||

は、

ドー レファ | ラー ソファ | ラー ソファ | ソー ファド | レー ファド | レー レー | 休符 休符 ||

という旋律を表す。

CDEFGABはそれぞれ「ドレミファソラシ(ドの絶対音高をCとした場合)」を表す。

1オクターブ高い音は小文字で、さらにそれより高い音は右上に「'」を付けて表す。

1オクターブ低い音は文字の直後に「,」を打って表す。

数字の後ろの数字(整数であることも、分数であることもある)は、音符の長さを示す。


関連項目


外部リンク