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坂口博信

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坂口博信(さかぐち ひろのぶ、1962年11月25日 - )は、茨城県日立市出身のゲームクリエイター,映画監督。人気RPGファイナルファンタジーシリーズの生みの親であり、日本を代表するゲームクリエイターの一人として知られている。ゲーム制作会社ミストウォーカー代表。

口ひげが印象的なことから、一部のファンから親しみを込めて「ヒゲ」と呼ばれることがある。本人が最も好きなゲームのジャンルはシミュレーションRPG

経歴

  • 水戸第一高等学校卒業、横浜国立大学工学部電気情報工学科中退。
  • 1983年 - 電友社のソフト開発部門であったスクウェアに入社。
  • 1986年 - 株式会社スクウェア設立。取締役企画・開発部長に就任
  • 1991年 - 同社代表取締役副社長に就任。開発部門を統括する立場となる。
  • 1995年 - Square LA、Inc(後にSquareUSA,Inc)取締役社長兼任。
  • 2001年にスクウェアを退社。以後独立し、株式会社ミストウォーカー代表取締役に就任する。

スクウェア在籍時代

1983年アルバイトとして大学の同級生でもあった田中弘道と共にスクウェアに入社、その後PCソフトやファミコンソフトを制作していたが振るわず、市場からの撤退を考えていた時期に最後の望みを託して彼の総指揮の下制作されたのが、『ファイナルファンタジー』である。このソフトの大ヒットの結果、スクウェアは大手ゲーム開発会社として成長していく。

長年開発トップとしてファイナルファンタジーシリーズ、『クロノ・トリガー』などの制作を主導、その他のゲーム制作においても大きな影響力を持っていたが、2001年2月に業績悪化の責任を取って代表取締役副社長を辞任。

また160億円というハリウッドの大作級の開発費をかけて制作された映画版『ファイナルファンタジー』(米:2001年7月公開 日:2001年9月公開)の監督を務めたが、一般的な評価は低く、興行もギネスブックに載ってしまうほどの記録的な不振に終わり会社の経営を圧迫した。また坂口自身の信用も大きく傷ついた。これが後のスクウェア・エニックス誕生のきっかけともいえる。

非在籍時代

その後は、スクウェア・エニックスの専属エグゼクティブプロデューサーとしてゲーム業界に携わるが、開発現場からは一線を退いていた。

ミストウォーカー設立

2001年に新たにゲーム制作会社ミストウォーカーを設立。複数のRPGを製作中である。同社はタイトル開発前の準備作業に時間をかける事が可能な少数規模体制であり、実開発作業は外部とのコラボレーションを基本として、フリーのクリエイターとも積極的に提携していく事を旨としているようである。坂口はミストウォーカーに関して、クリエイターが集まれる宿のようになれればと語っている。

ミストウォーカー始動後には、これからの自身のゲームクリエイターとしてのゲーム作品に対するスタンスの一部を明かしている。その要旨は作品において、坂口がみずからシナリオ・ゲームデザインを手掛けるというもの。坂口はそれらシナリオ、システムに散りばめた要素を、ユーザーに伝えたい自身の「こだわり」であると位置づけている。また、システム面も含めた坂口のシナリオライティングでは、その連動性も図られる。

既に開発され発売しているソフトにはXbox 360用ソフトでキャラクターデザインに鳥山明を起用した『ブルードラゴン』がある。

現在Xbox360で3本、ニンテンドーDSで1本の他、3本のタイトル(対応ハードは未発表)を開発中。既に発売されている『ブルードラゴン』とその続編、井上雄彦によるデザインが特徴の『ロストオデッセイ』の3作品はXbox360における超大作RPGとして国内外で期待される。また、坂口作品としては初となるアクションRPGとして発表されている『クライオン』は『ドラッグオンドラグーン』等を製作した開発会社キャビアとの共同開発である。いずれの作品も植松伸夫が作曲を担当する。ニンテンドーDS用のゲームソフト『ASH -ARCHAIC SEALED HEAT-』は、こちらも坂口自身初となるSRPGで、皆葉英夫崎元仁らがスタッフとして参加している。

ファミ通との共同でコンテストが開催され、そこから幾人かのクリエイターなどと契約などをしている模様。また、『ファイナルファンタジーXII』にはエグゼクティブプロデューサーとしてではなく、初期の開発立ち上げの頃のみ参加をしているが、製品版は序盤しかプレイしていないと発言している。

死生観とガイア理論

坂口のストーリーテリングは大きく2つの柱があり、そのうちの一つに独特な死生観がある。実母の焼死という事件が自身のクリエイティビティーに多大な影響を残したと語っており、ゲームプレイヤーに仲間の死という試練を与えその悲しみを乗り越え生きる力にするというパターンがゲームシナリオの基本となる。また対立する思考の概念として死という恐怖の前にはすべての意味はないという無の思想があり、その思想に取り付かれた敵を倒す事が物語のエンディング(収束)として展開される。

具体的な死生観の例としては、初期のFFシリーズでは亡霊や瀕死の人物が「大きな魂とひとつに~」とセリフを残して死に、地球と一体化、たびたび守護霊として復活する。この設定は後の作品でライフストリーム、クリスタルにシンボル化されて継承されたが、ややSF寄りの裏付けが存在し、坂口本来のスピリチュアルな意味合いは霞む。

もう一つの柱がガイア理論で、基本的に物語や世界観を構成する設定に説得力(相対性)を持たせる為に用いられる事が多い。異星人(『FFVII』ならジェノバ、映画『FF』ならファントム)の侵略に対し、人間たちが衰退させている星のエネルギーを回復させ、星自身の偉大な治癒能力で撃退するというのが基本である。が、FFシリーズのクリスタルも後期には似たようなパターンの設定が多いため、基本的に坂口作品はガイア理論が断片的に織り交ぜられているといえる。また坂口のガイア理論には人間の魂も強い関わりがあるとされ、死生観とセットが語られる事も多い。この2つの設定が最も色濃く出ているのが『FFVII』、『FFIX』と映画『FF』である。

主な代表作

スクウェア在籍時代

スクウェア退社後もファイナルファンタジーシリーズにはエグゼクティブプロデューサーとして携わっていたが2004年発売の『ファイナルファンタジーX-2インターナショナル+ラストミッション』を最後に同シリーズのエグゼクティブプロデューサーからも退いた模様。

なお『ファイナルファンタジーXII』ではスペシャルサンクスとして坂口の名前が掲載されている。

ミストウォーカー

これらミストウォーカーの各作品における坂口の役割に大きな差異はなく、上述のスタンス等にも基づいて、企画、制作総指揮、プロデューサー、シナリオ、ゲームデザイン等を兼任し、同スタジオ代表として全面的に作品を手がけている。また、『BD』や『LO』等、作品におけるボーカル曲の作詞も手掛けている。

関連項目

外部リンク