必殺仕事人V・旋風編
必殺仕事人V・旋風編(ひっさつしごとにん ファイブ・せんぷうへん)は、必殺シリーズの第27弾として、朝日放送と京都映画撮影所(現・松竹京都映画株式会社)が制作し、テレビ朝日系列で放映された時代劇。
藤田まこと演じる中村主水シリーズの第13弾であり、タイトル通り『必殺仕事人V』の3作目で、『必殺仕事人』シリーズとしては7作目にあたる。
作品内容
前作『必殺仕事人V・激闘編』最終回で、中村主水ら仕事人チームは、 「闇の会」を崩壊に追い込んだ上方の外道仕事人・天満屋宗兵ヱ(島田順司)一党を始末した。
それから1年たったある日。
主水は、南町奉行所の同心の班長をしていたが、 新たに赴任した与力・鬼塚(西田健)から、石川島の百軒長屋の見回りを命じられた。
そんな憂鬱な日々が続いていた主水のもとに、 かつて仕事人として主水と組み、その後長崎へ単身留学した西順之助(ひかる一平)が現れた。 順之助は、この百軒長屋で歯科医を開業、一人前に成長して江戸に戻ってきていたのだ。
さらに、同じ長屋の住人で、「便利屋」(今でいうところのリサイクル業者)を営む女・お玉(かとうかずこ、現・かず子)は、 ある夜、船宿「磯春」の船頭兼板前の男・夜鶴の銀平(出門英)の殺しの現場を目撃した。
翌日、主水に追い詰められたお玉は、かつて裏稼業の世界で名を馳せた大元締・虎(藤村富美男=『新・必殺仕置人』)の娘であることを告げる。 銀平は、虎の配下の殺し屋であった。
そして、『激闘編』を最後に旅に出ていた鍛冶屋の政(村上弘明)も江戸に戻ってきた。
かくして、新しい「仕事人」チームが誕生するのである。
制作の背景
前作『必殺仕事人V・激闘編』で、それまでのソフトなバラエティ路線から一転して、 初期~中期のハード路線(殺陣シーンの迫力、「闇の会」の設定等)を取り入れた。
しかし、“必殺マニア”と呼ばれる初期(旧作)のファンの支持を得られたものの、 視聴率は低空飛行を続け、制作スタッフの間に迷いが生じてしまう。
そこで、従来どおりのマイルド(甘口)路線に戻ったのが本作である。
設定としては、主水は『必殺仕事人』より安定していた表の仕事が、 『必殺仕業人』以来のリストラとなり、 また、表裏をとりまく関係も一新した。
まず、『必殺仕事人V』以来の登場となる西順之助。
なんでも屋の加代(鮎川いずみ)に代わる密偵として、 大元締・虎の娘という設定を持つ便利屋お玉。
新規参入の仕事人として、虎配下の殺し屋だった夜鶴の銀平。 演ずる出門英は、料理が得意であるということから、 チーフプロデューサーの山内久司(現・朝日放送常任顧問)が推薦したという。
そして、順之助を自分の子どものように可愛がる(?)長屋の住人には、 同じ朝日放送制作の土曜ワイド劇場『京都殺人案内』シリーズで主水=藤田まこと演じる刑事・音川音次郎の上司である捜査一課長・秋山虎五郎を演じるベテランで、 過去にこの必殺シリーズで悪役ゲストの経験もある遠藤太津朗、
その遠藤のライバル役に、『必殺まっしぐら!』からの連続登板となる桃山みつる、
銀平が働く船宿の仲居役に、やはり『まっしぐら!』からの連登となる菅原昌子。
さらに、主水の新たな上司役として、『特捜最前線』などの刑事ドラマで犯人役を演じた西田健が起用され、 筆頭同心・田中と主水とのやり取りもユーモラスだった。
しかし、この設定やキャラクターでも物語の進展は見られず、中村主水シリーズとしては異例の14話で打ち切られてしまう。
殺し技
- 中村主水…悪人を油断させながら、相手の一瞬の隙を付いて、脇差を相手の急所に刺す。
- 鍛冶屋の政…シリーズ2作目『必殺仕置人』の棺桶の錠が使用した物と、同形態の木製の手槍。悪人の首筋を突き刺す。
- 夜鶴の銀平…釣竿につけた金属性の折鶴を飛ばして悪人の首に巻きつけ、鶴のくちばしに仕込んだ針で悪人の喉笛を突き刺す。
- 西順之助…竹製の大筒の中に火薬を仕込み、悪人をめがけて爆死させる(今でいうところのバズーカ砲)。
最終回
百軒長屋が大火事になり、その中で仕事を果たした順之助だったが、 携帯していた火薬が引火して大爆破。
その巻き添えを食った銀平とともに殉死してしまう(ただし順之助の明確な死の描写はない)。
主な出演者
- 中村主水 … 藤田まこと
- 鍛冶屋の政 … 村上弘明
- 夜鶴の銀平 … 出門英
- 便利屋お玉 … かとうかずこ(現・かず子)
- 西順之助 … ひかる一平
- 筆頭同心・田中 … 山内としお
- 与力・鬼塚 … 西田健
- おさき … 菅原昌子
- おりん … 桃山みつる
- 小者・六平 … 妹尾友信
- 千代松 … 遠藤太津朗
- ナレーター … 中村梅之助
主題歌
「愛は別離(わかれ)」作詞:なかにし礼 作曲:浜圭介 編曲:桜庭伸幸 唄:川中美幸
テイチクレコード(現:テイチクエンタテインメント)
次作『必殺仕事人V・風雲竜虎編』でも使用された。
- 挿入歌
「風花」(「愛は別離」のB面) 作詞:中西冬樹 作曲:伊豆康臣 編曲:桜庭伸幸 唄:川中美幸
を第4話から使用。
放映リスト
- 主水エスカルゴを食べる
- りつ、ハウスマヌカンになる
- 主水、殺人ツアーに出かける
- せん、りつ、カチンカチン体操をする
- 主水、X'マスプレゼントする
- 主水バースになる
- 主水、せん、りつ、ダブルベッドに寝る
- 主水、コールガールの仇を討つ
- 主水、りつ、ラブホテルに行く
- 主水、ワープロをうつ
- 主水の隠し子現れる
- 主水、ネズミ捕りにかかる
- 主水、化粧をする
- 主水、大奥の鶴を食べて失業する
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